税理士監修!副業の際にかかる税金と節税スキル7選

副業には、収入の増加や、将来起こりうる倒産などへのリスクヘッジだけでなく、副業だからこそ受けられる節税メリットや独立する上でのメリットなど知らないと損している情報があります。今回は、副業だからこそ受けられる節税メリットについて、分かりやすく解説していきます。






1)副業について

【1】副業・兼業の解禁

2018年1月、厚生労働省が「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を発表し、それまでの「許可なく他の会社等の業務に従事しないという」規定が削除され、代わりに「労働者は、勤務時間外において他の会社等の業務に従事することができる」と明記されました。いわゆる副業・兼業の解禁です。

この動きに合わせるようにソフトバンク、リクルート、Yahoo! JAPAN、新生銀行など、大手企業や新興企業を中心に副業・兼業が認められるようになり、今後さらにスピードを上げて広がっていくことが予想されます。

【2】副業の種類

副業には、以下のようなものが考えられます。

(1)アルバイト
(2)マッサージ店・ネイルサロン
(3)ネットオークション・フリーマーケットなどでの小商い
(4)アフィリエイト収入・セミナー講師・原稿料など
(5)株・FX

サラリーマンが副業で得らえる収入は、給料や株式投資などは別にして原則として雑所得になります。それは副業収入自体が不安定で、副業収入だけでは生活できるだけの十分な利益がでていないことが前提になっているからです。雑所得ではなく、事業所得として税務署に申請することも可能ではありますが、その場合は個人事業主としてきちんとした事業実態を持つことが必要となります。

もし、高額所得サラリーマンが、節税効果を高めようと事業所得として無理に申告した場合、税務署から5年ほど遡り税金を取られる(修正申告が必要)リスクがあります。

また、節税のために副業で意図的に赤字を出し続けることも、税務調査等で副業そのものを否認されかねず、脱税とみなされるリスクがありますので注意が必要です。ただし、事業所得として受けられる控除や節税メリットはとても大きいので、副業は節税だけではなく、事業実態を伴って行うことをおススメします。

私服の男性とスーツの男性

2)副業によるメリット

【1】経費による節税メリット

サラリーマンが副業をするメリットは、収入を増やすことができることや、会社が倒産しても別の収入を持つことで将来に対するリスクを軽減できることが挙げられますが、一番のメリットは、個人事業主として副業による経費を申告できる節税効果です。どういうことか簡単に説明すると、例えばライター業をPCを使い自宅の一室でやるとします。その場合、経費として以下のようなものが計上できます。

(1)PC購入代金
(2)家賃
(3)インターネット代
(4)電気代、ガス代、水道代

これらの費用は、副業をしてなければ全く必要経費とすることができませんが、事業に使用することで費用の2~3割程度を経費として計上できるようになります。

仮に家賃10万円の部屋に住んでいる場合、家賃を経費として毎月2万円計上でき、水道光熱費、インターネット代等も含めると年間30万円は経費に計上できます。さらに必要に応じて教材代、取材費用、交通費などを含めることができれば、合計50万円も可能となります。

もし、サラリーマンの給料のうち、課税所得が300万円、ライター収入が50万円だったとすると、所得税、住民税合わせて12万円程度は節税できるのです。

あくまでこの必要経費は、副業として収入を得るためにかかった費用のことですが、サラリーマンの場合、家賃、インターネットなどはどちらにしても払っている費用なので、副業を始めることで経費に計上できる節税メリットはとても大きいと言えます。サラリーマンの場合は、既に源泉徴収されていますので、これらの節税メリットは確定申告することで受けることができます。

【2】本格的に事業を始めたい時のメリット

(1)起業する場合のリスク軽減

副業には節税効果を一番に考えるメリットもありますが、将来的に独立して本業にしていきたい場合にも大きなメリットがあります。それは、サラリーマンなど本業がある場合、副業で失敗しても、税金の還付分だけローリスクで起業をすることができるメリットです。

例えば、マッサージ店を自宅で開業しようとした場合、専用機材を購入したり、自宅を改築するなどして約100万円の出費をしたとします。しかし事業が軌道に乗らず最終的に50万円の損失が出た場合、サラリーマンであれば50万円を副業による損失として本業の収入と相殺することが可能なのです。

例えば、課税所得が300万円だとすると、250万円に減らすことができ、本業で源泉徴収をされた金額の一部を還付という形で戻すことができます。もし、脱サラして最初から個人事業主として開業した場合は、50万円の損失はそのまま損失となってしまいますので、本業があるからこそ、副業による損失を節税に生かすことができるのです。

(2)節税の継続効果

副業を開始してもなかなか事業が軌道にならず赤字が続く場合もあります。その場合でも、副業だからこそ節税を効果的にできます。それは2年目も3年目も赤字分だけ本業の収入と相殺することができるからです。さらに前述にように、副業にかかる費用(家賃、パソコン購入代、インターネット代、光熱費等)は一部経費にできますので、実際の収入額以上の相殺が可能となります。

独立するのは、副業が軌道に乗りはじめてから考えればいいので、時間的なゆとりを得ることができ、ベストなタイミングで独立することができます。このように本格的に事業を始める場合でも、副業は大きなメリットがあり、サラリーマンのように本業があるうちに始めることをおススメします。

電卓で計算する男性

3)副業でも受けらえる節税対策

【1】青色申告特別控除

青色申告特別控除とは、個人事業主として最も基本的な所得控除となります。青色申告者に適用される控除額は10万円と65万円の2種類があり、簿記の方法によって控除額が変わります。簡易簿記、もしくは現金式簡易簿記の場合には10万円控除、複式簿記で記帳すれば最大で65万円控除が受けられます。 65万円控除を受けるためには、以下の要件を全て満たす必要があるため、複雑で手間がかかります。

(1)不動産所得・あるいは事業所得を得る事業を営んでいること

(2)複式簿記で記帳していること

(3)確定申告の必要書類を法定申告期限内に提出すること

個人事業主として副業を始めて事業所得があまり見込めない場合であれば、最初は10万円の青色申告を選択し、事業が軌道に乗り売り上げの増加を見込めるならば、手間がかかっても節税効果の高い65万円控除に移行することをおススメします。

【2】青色専従者給与

青色専従者給与は事業に携わっている家族に支払う給与を経費として計上できる制度です。例えば、領収書の整理、書類作成、スケジュールの管理などを担当した家族に報酬を支払うことで、基礎控除、給与所得控除の合計、103万円まで所得税がかからず、所得を分散させられるため、累進課税である税率を低く抑えられるメリットがあります。

さらに、住民税、国民健康保険料の所得割額、個人事業税の節税対策にもなります。専従者控除のデメリットとしては、38万円の配偶者控除が受けられなくなることが挙げられますが、それ以上のメリットがあると言えます。

【3】その他の経費

(1)マイカーの購入費用

マイカーを副業に使用した場合、自動車の支払額を必要経費にすることで節税することができます。例えば、購入費用120万円のマイカーを土日に週2日間、営業車として使用するとします。この場合の事業割合は使用頻度で計算しますので、「週2日間÷7日=約28%」となります。それを耐用年数(=税法上の使用可能期間)6年で分割して経費に落とすことを減価償却と言います。計算式は、下記のようになります。

「購入費用120万円」÷「耐用年数6年」✕「事業割合約28%」=5万6,000円

この5万6,000円を減価償却費として、毎年必要経費として6年間落とせます。所得税と住民税の税率が20%の場合、1万1,200円を節税することができるのです。

(2)広告宣伝費用

経費とは、厳密にはその事業年度に収入を得るために費やしたお金のことを言います。チラシのように翌年の収入金額を増加のための広告宣伝費用は、本来次年度の経費となりますが、短期前払費用として今年度の経費にすることができるのです。

例えば、来年1月から12月まで掲載する広告費10万円を今年中に支払ったとしたら、全額を支払った年の経費として計上することができるため、節税ではありませんが、運用資金の確保として有効な税金対策となります。






まとめ

【1】副業・兼業が厚生労働省のガイドラインで解禁され、今後さらに広がっていくことが予想される

【2】副業は、生活上の費用を経費に計上できるようになり、サラリーマンにとってメリットが大きい

【3】事業を本格的に始めたい場合、副業として始めることで起業リスクを軽減できる

【4】個人事業主として副業することで、節税対策の幅が広がりメリットが大きくなる

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髙村健一

1973年4月26日神奈川県生まれ。髙村税理士事務所代表・株式会社トラストコンサルティング代表取締役。オーナー系企業・個人の富裕層向け税務コンサルティング、アドバイザリー業務を得意分野とする。LEC東京リーガルマインドの講師など、全国で講演活動やセミナーを実施。研修講演等実績:大同生命・ジブラルタ生命・三井住友海上あいおい生命・アクサ生命他。執筆実績:清文社「間違わない事業承継Q&A」(共著)・観光経済新聞社「税肉を落とす」日本金融通信社「ニッキンマネー・節税のノウハウ」他

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1973年4月26日神奈川県生まれ。髙村税理士事務所代表・株式会社トラストコンサルティング代表取締役。オーナー系企業・個人の富裕層向け税務コンサルティング、アドバイザリー業務を得意分野とする。LEC東京リーガルマインドの講師など、全国で講演活動やセミナーを実施。研修講演等実績:大同生命・ジブラルタ生命・三井住友海上あいおい生命・アクサ生命他。執筆実績:清文社「間違わない事業承継Q&A」(共著)・観光経済新聞社「税肉を落とす」日本金融通信社「ニッキンマネー・節税のノウハウ」他