合同会社に関する税金まとめ!納付方法と節税のポイントとは

合同会社は少ない資金でも始めやすい会社形態ですが、税金面でも優遇されることはあるのでしょうか。起業を考えている人向けに、合同会社にした場合の税金上のメリットや、税金の種類や納付方法、節税のポイントなどについてご紹介します。






1)合同会社ってどういう会社?

合同会社は日本の中でも少しずつ増えてきている会社形態です。西友や、アマゾン、アップルなども実は合同会社であるように、大きな企業も存在します。株式会社と違って株式の発行が不要であるため、利益分配が柔軟にできるという特徴がありますし、また設立に関する規則が少ないため起業しやすいというメリットもあります。

現状は中小企業が多いですが、今後はどうなるかわかりません。合同会社は設立についても公証役場での定款の承認が不要で、登録免許税だけで良く、6〜10万円ほどでの設立が可能となっています。

2)合同会社にした場合の税金上のメリットとは?

合同会社にした場合、税金上のメリットは株式会社と比べるとほとんどありません。ただし、いわゆる「法人成り」によって個人事業主よりも税制上有利になる点はたくさんあります。

【1】所得税の税率が緩やかに

法人税の税率は、個人事業主の所得税と比較すると税率の上昇率が緩やかになっています。所得税なら金額が900万円を超えると33%、1,800万円を超えると40%なってしまいますが、法人税は課税所得金額が800万円以下までは22%、800万円超の部分で30%ですので、利益が大きく税金で奪われてしまうことがありません。

【2】経費計上の範囲が広い

個人事業主の場合、事業主に対する給料は経費となりませんが、合同会社になれば、給与は経費として認められることになります。給与所得者になれば、給与所得控除が適用されますので、事業主の課税負担は楽になります。それだけではなく、保険料や住宅費などについても経費とできる場合もあります。

電卓を使うビジネスマン

3)合同会社の税金の種類と納付方法

【1】法人税

法人の決算上の利益に対して課される国の税金です。所得金額800万円以下の場合は22%、800万円超の場合は30%の税率となっています。税金は事業年度の終了日の翌日から2か月以内に納める必要があります。

【2】法人住民税

会社が登記してある都道府県・市町村に対して納める地方税です。「均等割」と「法人税割」の2種類があり、「均等割」の税率は規模(資本金や従業員数など)に応じて決定されることになっており、赤字の場合でも最低7万円の支払いが発生します。「法人税割」は法人税額と住民税額を基に計算されるもので、法人税額と住民税率によって決定します。地域によってやや違いがあります。事業年度の終了日翌日から2か月以内に納付します。

【3】法人事業税

登記をしている都道府県で事業を営んでいることに対する地方税です。公共サービスへの負担という意味合いで徴収されています。課税所得の額に応じて、最低5%の税率が設定されています。事業年度の終了日翌日から2か月以内に納付します。

【4】消費税

事業年度の仮受消費税額から、仮払消費税額を差し引いた額を納付します。設立時の資本金が1,000万円以下かつ、設立1期目開始6か月の課税売上高と給与支給額のどちらかが1,000万円以下の場合には免税事業者として消費税の納付の必要はありません。事業年度の終了日翌日から2か月以内に納付します。2019年から軽減税率が実施されますので、対象の商品を扱う場合は注意してください。

【5】固定資産税

会社が保有する固定資産(土地・建物・有形償却資産)に対して課される地方税です。固定資産を持っていない場合には納付の必要はありません。基本的に毎年4期に分けて納付します。

【6】その他

上記の税金の他、税金が個別に定められている酒、タバコなどを商品として扱う場合や、自動車のように保有していることに税金が発生する場合もあります。

4)合同会社で節税するためのポイント

合同会社において節税をするためにはいくつかのポイントがあります。

【1】ポイント1:青色申告を利用する

青色申告で税申告をすることによって、65万円の所得控除を受けることができるようになります。また、青色申告で申告された赤字は翌年度から7年間繰越することができ、その7年の間に出た黒字と相殺することが可能になっています。将来の節税の可能性を広げるためにも、青色申告にしておいた方が節税上は有利になります。

【2】ポイント2:複数の会社を設立する

合同会社の設立費用は6〜10万円程度で済むため、複数の事業分野を持つ会社を設立するなら、それぞれの事業分野ごとに会社を設立した方が節税上は有利になります。利益額によらず給与は経費にすることができますし、役員報酬も株式会社と比較して調節が容易です。

【3】ポイント3:家族を非常勤社員にする

合同会社では、非常勤の社員に対しても会社が報酬を支払い、それを経費とすることができます。個人事業主と比較して属性や勤務状況に縛りがないので、家族や親族を社員とすることによって税制上のメリットを受けることができます。

【4】ポイント4:賃貸物件を社宅にする

合同会社や株式会社では、社宅ということで居住の賃貸物件を会社による社宅としての契約に変更することによって会社の経費にすることができます。社員の住居費負担を軽くし、かつ会社の節税にもなるので一石二鳥です。

5)合同会社と株式会社では節税にあまりならない?

合同会社と株式会社では、基本的に税制上でどちらが税金が有利ということはありません。ただし、合同会社の方が様々な面でルールが少ないため、上手くルールを利用して節税効果を得ることができる可能性は高くなります。ルール上問題が無い範囲での節税になるかどうかは、税理士に意見を聞きながら慎重に判断しましょう。悪質と見られた場合は、脱税の容疑をかけられる場合もあります。

ビル背景での握手

6)合同会社の税金に関するその他のQ&A

【Q1】どうして外資の企業に合同会社が多いの?

外国で成功している企業では、日本における「株式会社の肩書を必要としないところが多いから」という点と、「パススルー課税があるため」です。パススルー課税とは、事業の利益の配分を得た個人に対して課税されるものです。法人税の高い国では、パススルー課税を利用した方が節税上有利になるため、米国の企業ではよく行われています。

【Q2】個人事業主からの法人成りの目安はありますか?

税金は個人の状況によって控除も様々にありますので、一概には言えません。課税金額で600万円から800万円くらいの間では、合同会社などの法人になった方が税金が有利になる人が出てきます。

【Q3】赤字でも法人は税金がかかると聞きました

はい。事業住民税が事業の結果と関係なくかかります。これは規模の小さい会社でも最低で7万円は発生するため、痛い支出になるでしょう。しかし、青色申告をしていれば赤字分は来年以降の節税に利用できますので、この分は翌年以降には取り返せる可能性は高いです。

【Q4】一人社長の合同会社でも節税できますか?

一人だとしても、個人事業の時と比較すると生命保険などは会社経費で入れますので節税になる場合は多いです。一定以上の利益がないと、所得税の税率よりも法人税の税率が高くなりますので注意してください。また、役員報酬の設定額が中途半端だと会社にも個人にも節税効果が無くなることがあります。

【Q5】合同会社の設立に税金は発生しますか?

合同会社の設立そのものでは、印紙税や登録免許税などの税金は発生しています。そのため、株式会社の設立時の印紙税や登録免許税と比較すると、節税できていることになります。






まとめ

【1】合同会社は増えてきている会社形態

【2】合同会社は法人税なので所得税より累進税率が緩やか

【3】合同会社は経費にできる範囲が広い

【4】合同会社で節税するには青色申告で税申告をすること

【5】合同会社で節税するには可能なら複数の会社を作る

【6】合同会社で節税するには経費として利用できるものを税理士と相談して考える

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髙村健一

1973年4月26日神奈川県生まれ。髙村税理士事務所代表・株式会社トラストコンサルティング代表取締役。オーナー系企業・個人の富裕層向け税務コンサルティング、アドバイザリー業務を得意分野とする。LEC東京リーガルマインドの講師など、全国で講演活動やセミナーを実施。研修講演等実績:大同生命・ジブラルタ生命・三井住友海上あいおい生命・アクサ生命他。執筆実績:清文社「間違わない事業承継Q&A」(共著)・観光経済新聞社「税肉を落とす」日本金融通信社「ニッキンマネー・節税のノウハウ」他

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1973年4月26日神奈川県生まれ。髙村税理士事務所代表・株式会社トラストコンサルティング代表取締役。オーナー系企業・個人の富裕層向け税務コンサルティング、アドバイザリー業務を得意分野とする。LEC東京リーガルマインドの講師など、全国で講演活動やセミナーを実施。研修講演等実績:大同生命・ジブラルタ生命・三井住友海上あいおい生命・アクサ生命他。執筆実績:清文社「間違わない事業承継Q&A」(共著)・観光経済新聞社「税肉を落とす」日本金融通信社「ニッキンマネー・節税のノウハウ」他