法人税の3種類解説!法人化のタイミングとは【2018年版】

法人として支払う税金は、個人の支払う税金とは共通点はあるものの、種類は多岐にわたりルールも複雑になります。また法人を設立する場合、そのタイミングや節税効果についてもメリット・デメリットがありますので、一つ一つ整理して解説していきます。






1)法人税等にも種類がある?3種類を解説

【1】法人税等(法人税・法人住民税・法人事業税)

法人を設立すると、必ず納めなければならないのが法人税・法人事業税・法人住民税の3種類です。総称して法人税、もしくは法人税等と言われています。まずは基本となる法人税等の3つの税金について解説していきます。

【2】法人税について

法人税とは、法人の所得に対してかかる税金のことをいいます。法人の所得とは、事業年度のいわゆる利益から損金を引いた実際の儲けのことで、法人税はその所得に税率をかけて計算します。売上などで利益が出ていても、経費が多ければ税金を減らすことができます。

<計算式>

会社の利益(税法では益金)-算入できる損金=所得金額

所得金額×法人税率=法人税額

【3】法人住民税(都道府県税・市区町村税)

法人住民税とは、法人税と同じく所得に対してかかる税金です。事業所がある地方自治体に支払う地方税となり、「道府県民税」「市町村民税」のように自治体別に分かれ、これらを総称して「法人住民税」と呼びます。所得の有無に関係なく必ず課税される「均等割」と法人税額に一定の割合を掛けて課税される「法人割」、他に利子に付く「利子割」で構成されています。

(1)均等割

均等割とは、その法人の資本金に対する定額のため、所得が赤字であったとしても支払わなければなりません。

(2)法人割

・資本金1億円以下で法人税額1000万円以下の場合

税額=法人税額 × 17.3%

・資本金1億円以上、もしくは法人税額1000万円以上の場合

税額=法人税額 × 20.7%

東京都23区の場合は、上記の17.3%に相当する税額を都税事務所に一括納付。一方、市町村の場合は、5%を県税事務所に、12.3%を市町村役場に申告して納付します。

(3)利子割

金融機関などからの利子等に対して、都道府県民税として5%の税率で源泉徴収(天引き)され、法人の所得税としては15%源泉徴収されます。

【4】法人事業税

法人事業税とは、法人の所得に対してかかる税金のことで、事業所がある地方自治体に支払う税金です。法人事業税は、法人税、法人住民税と違い、損金算入が認めらます。計算式は、「法人事業税」=「課税所得」×「法人事業税率」となります。東京都の場合、①資本金1億円以下、②所得金額2,500万円以下、③年商2億円以下、④法人の拠点が2都道府県以下、これら全ての条件を満たす法人は次の税率が適用されます。

・年400万円以下の部分:3.4%

・年400万円超800万円以下の部分:5.1%

・年800万円超の部分:6.7%

・上記①②③④の条件をひとつでも満たさない場合、一律6.7%

(1)地方法人特別税

地方法人特別税とは、税率における地域格差をなくすため2006年度の税制改正で、地方税である法人事業税の税率を引き下げる一方、国税として新しく創設された税金です。そのため、法人事業税と地方法人特別税を合わせた税負担自体には変更はなく、資本金が1億円を超える法人にのみに課されている税金です。

案内をする女性

2)その他の税金って何があるの?代表的な6つとは?

【1】消費税・地方消費税

消費税とは、モノやサービスの消費にかかる税金で、国税である消費税と地方税である地方消費税の2種類があります。税率は8%(消費税6.3%・地方消費税1.7%)となります。法人の消費活動には消費税が課税されますが、下記①②の要件を満たせば免除されます。

①資本金又は出資金の額が1000万円未満

②課税売上高が1000万円を超えない場合

さらに会社設立時に資本金が1000万円未満の場合は、原則として消費税が2年間免除されます。

【2】所得税

所得税とは、金融機関等から預金利子や配当をもらった場合にかかる税金で、法人にも税金がかかります。会社が利子や配当を受け取る場合、額面に対して15.315%の所得税及び復興特別所得税が控除されます。

【3】印紙税(国税)

印紙税とは、取引に伴って作成する契約書や金銭の受取書(領収書)などに対してかかる税金です。5万円以上の領収書など課税文書を作成した時にかかり、収入印紙を貼って割り印することで納税となります。

【4】登録免許税(国税)

登録免許税とは、不動産、船舶、会社などの登記、登録、特許、免許、許可、認可、認定、指定及び技能証明について課税される税金です。会社の設立時には15万円の登録免許税を払います。それ以外にも著作権、法人の登記、宅地建物取引業の登記などにも課税されます。

【5】固定資産税(区市町村税)

固定資産税とは、1月1日時点で、会社で保有する土地・建物・一定金額以上の償却資産に対してかかる地方税で、税率は1.4%です。土地が市街化区域に指定されている場合は、都市計画税として0.3%がかかる場合もあります。

【6】自動車関連の税

(1)自動車税(都道府県税)

軽自動車や特殊車両を除く自動車の税金で、排気量によって決まります。賦課期日は4月1日で、毎年5月頃に送付される納税通知書によって納めます。

(2)自動車重量税(国税)

車検時等に納税する税金で、車重によって決まります。

(3)自動車取得税(都道府県税)

自動車を取得した時に納税する税金です。

(4)軽自動車税(市区町村税)

自動車税の代わりに、軽自動車を所有している時に納税する税金です。

3)法人設立にもタイミングがある?メリット・デメリット解説

【1】法人設立のタイミング

個人事業主が会社を設立することを法人成りといいます。利益が多くなってきた場合には、法人税率は個人事業主における所得税率よりも優遇されますので、法人を設立をすることで節税することができます。一般的な設立の目安としては①所得が500万円を超える時、②課税売上高が1000万円を超える時です。

(1)所得500万円を超えた時

所得が500万円を超えると、法人の税率より個人事業主の税率の方が高くなる分岐点となります。これは、個人事業主の所得税が累進課税であるため、増えれば増えるだけ増額される一方、法人税の税率は一定だからです。法人設立のタイミングとしては、まず所得が500万円前後になった場合に検討することをおすすめします。

(2)課税売上高が1000万円を超えた時

課税売上高1000万円を超えると、消費税の納税義務が発生しますが、新しく法人として会社を設立した場合、一定の条件のもと設立1期目と2期目は消費税が免除されます。売上高に応じて消費税は高くなるため、このタイミングで会社設立することで大きな節税につながる場合があります。

【2】社会的信用

もうひとつの大きなメリットは、法人になることで社会的信用を得られることです。契約や商売などは信用の上で成り立っており、社会的信用が得られることで取引の幅は広がり、融資や資金調達においても有利に運ぶことができます。また、人材採用においても、個人事業主よりも法人の方が安心感を与えられるだけでなく、社会保険に加入できるため有利となります。

【3】デメリット

会社設立によりランニングコストが増えます。たとえば、法人だと赤字であっても税金が発生したり、社会保険の加入が義務付けられること、また税金の種類は増え多岐にわたるため、税理士の顧問料など事務負担も増えます。

説明するビジネスマン

4)法人税率について

日本の法人税率は他国に比べると高いと言われており、租税回避のために、タックスヘイブンへの日本企業の流出が加速しています。企業が収益を伸ばしても税金として取られてしまうことから、少しでも税率の低い国に活動拠点を移すのです。これではいくら日本の企業として成長したとしても法人税は全て海外に取られてしまいます。

そこで日本政府は対策として、平成27年4月1日以後に開始する事業年度から、法人税率を段階的に引き下げることを決定し、平成28年度以降は23.4%、平成30年度以降は23.2%に引き下げています。

では、法人税率中小企業(資本金の額1億円以下)の法人税率について見てみます。課税所得金額が800万円以下の場合は15%ですが、これを超える部分については税率が高くなります。例えば、所得が1,000万円の場合の法人の場合は、800万円×15%+(1,000万円−800万円)×23.2%=166.4となります。

5)要チェック!法人を設立したら注意すべきこと

【1】CHECK1:税金の損益算入

法人事業税と地方法人特別税は損金算入が認められています。その金額分は所得金額を減らすことができるので、翌年度の法人税や住民税の減額につなげられます。忘れないようにしてください。

【2】CHECK2:所得がなくても支払う税金

消費税や法人住民税の均等割分は、課税年度の所得がなく赤字であっても納めなければなりません。このように法人になることで、所得に関係なく支払わなければならない税金が多くなります。もし年度ごとで所得が安定しない場合は、少し様子を見てもいいかもしれません。

【3】CHECK3:納税額を誤ったり忘れることのリスク

法人にかかわる税金は多岐に渡り、支払い期日は各法人の定款に定められた事業年度末から2カ月以内に支払うことになります。事業年度末が3月の場合には、4月~5月末日の間に前年度の分を支払わなければなりません。

また、支払い先も国と市町村とで別れており複雑です。もし税金の支払いを誤ったり、忘れていると滞納税などが加算され、気づいた時には大変なことになっていることもありますので注意してください。

税理士に相談

6)税理士・専門家に依頼するメリットとは?

【1】税務会計や経営のアドバイスが受けられる

税理士のアドバイスを受ける最大のメリットは節税対策につなげられることです。例えば、設備投資、保険への加入、役員報酬など、会社の規模や方針に沿った節税対策のアドバイスが受けられます。

売り上げが大きくなればなるほどその効果は大きくなります。さらに経営上、何が儲かって何が儲かっていないかなど、会計や資金繰りなどの正確な数字を把握できるようになり、経営戦略において強みになります。

【2】自由な時間ができる

税理士に依頼することで、会計帳簿の作成、給与計算、社会保険手続き、役所関係手続などを代行してもらえます。法人になると税金など複雑になりますので、その分事務手続きに費やす時間が減り本来の業務に集中できます。

【3】各種専門家のアドバイスも受けることができる

法人設立においては税理士が担当することになりますが、税理士は普段から弁護士、司法書士など各種専門家の方々とコネクションを持っています。税理士とのつながりから必要に応じて各種専門家につなげてもらうことができ、適切なアドバイスを受けることができます。

【4】人件費が削減できる

もし税務担当として職員を雇っている場合は賃金が発生しています。税理士の顧問料は、職員の賃金と比較して安い場合が多く、金銭面においてもメリットがあります。

【5】税務調査への不安が減る

税務調査において意図的でないにせよ誤りがあった場合、申告期限から経過している分の延滞税等が加算されてしまいます。経営者はこのような不安を抱えながら経営から人材管理まで幅広く行わないといけません。税理士が節税対策をして税務調査において立ち会ってもらうことで、税務調査における不安は大幅に減りますし、今後の対策も講じやすくなります。

7)実際に法人税はどのように支払う?法人税支払いの3STEP

【1】ステップ1:会計帳簿への記帳を完了させる

まずは、決算作業の準備のために帳簿の整理を行います。具体的には、請求書、領収書、通帳を元に整理して会計帳簿に記帳していきます。法人のようにデータ量や作成資料が多い場合は、会計ソフトを使用することをおすすめします。不慣れな場合でも、会計ソフトがあれば総勘定元帳を始め、決算書まで自動で作成してくれます。

【2】ステップ2:決算書の作成

次に、決算書作成の事前作業として「決算整理仕訳」を行います。これは法人税を確定させる上で必要な作業になります。決算整理仕訳では、棚卸資産、減価償却、貸倒引当金、未払税金、未払費用・前払費用などを計上します。

これが完了したら決算書類の作成に移りますが、会計ソフトの機能によっては自動的に作成されるようになってきています。決算に必要な書類は、種類やルールも多くあり複雑といわざるを得ません。慣れないうちは税理士など専門家にサポートしてもらうことをおすすめします。

【3】ステップ3:納税

法人決算書が完成しましたら、税務署から送られてくる納付書に記入して金融機関の窓口で納付します。他の納付方法としては、事前準備は必要ですが国税電子申告・納税システム(e-Tax)、地方税ではeLTAXを用いることができます。法人としてe-TaxやeLTAXを利用する場合は、商業登記に基づく電子証明書、ICカードリーダライター、電子証明取得ソフト等が必要となります。初めは面倒に感じるかもしれませんが、慣れればとても便利なシステムで時間の削減にもつながります。






この記事のチェックポイント

【1】法人を設立すると税金の種類が増えるだけでなく、損金算入できるものや所得がなくても課税される税金など多岐にわたる

【2】法人の場合、納税時期や支払い先も法人や税金によって異なり複雑なため、税理士など専門家のサポートを受ける

【3】法人の場合、節税の幅は広がるので、節税効果を最大限発揮できる対策を税理士など専門家と相談する

【4】法人の設立は、メリット、デメリットをしっかり理解した上で最適なタイミングを考える

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髙村健一

1973年4月26日神奈川県生まれ。髙村税理士事務所代表・株式会社トラストコンサルティング代表取締役。オーナー系企業・個人の富裕層向け税務コンサルティング、アドバイザリー業務を得意分野とする。LEC東京リーガルマインドの講師など、全国で講演活動やセミナーを実施。研修講演等実績:大同生命・ジブラルタ生命・三井住友海上あいおい生命・アクサ生命他。執筆実績:清文社「間違わない事業承継Q&A」(共著)・観光経済新聞社「税肉を落とす」日本金融通信社「ニッキンマネー・節税のノウハウ」他

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1973年4月26日神奈川県生まれ。髙村税理士事務所代表・株式会社トラストコンサルティング代表取締役。オーナー系企業・個人の富裕層向け税務コンサルティング、アドバイザリー業務を得意分野とする。LEC東京リーガルマインドの講師など、全国で講演活動やセミナーを実施。研修講演等実績:大同生命・ジブラルタ生命・三井住友海上あいおい生命・アクサ生命他。執筆実績:清文社「間違わない事業承継Q&A」(共著)・観光経済新聞社「税肉を落とす」日本金融通信社「ニッキンマネー・節税のノウハウ」他