遺産分割協議書とは何?税理士が伝える前提知識とは

遺産分割協議書についてご存じでしょうか。遺産を相続するときに作成する書類ですが、専門家に依頼して作成することが一般的です。では、税理士に依頼した場合の費用や期間はどのくらいかかるのでしょうか。また、依頼のメリットや注意点をお伝えします。






1)遺産分割協議書の役割

遺産分割協議書とは、相続が発生する際に相続人が集まって協議を行い、その結果を公的な書類にするものです。これにより、契約書と同様に協議の結果を証明する書類書として遺産分割協議書を利用することができます。遺産分割協議書の作成は必須ではありません。しかし、財産をスムーズに分割し相続するために作成することが好ましいです。

また後々のトラブル防止のためにも有効です。遺産分割協議書を作成するのは、相続人が複数人いる場合です。相続人がひとりの場合は、分割する必要がないため作成は不要です。遺言書が存在しない場合や遺言書が有効でない場合には、全ての相続人が話し合いを行い、遺産分割協議書を作成します。また、遺言書で財産の一部についてのみ相続内容が指定されており、残りの財産の相続について不明なケースの場合も、残りの財産の分割をどうするか決定し、遺産分割協議書を作成すべきです。

書類 作成

2)遺産分割協議書の作成を税理士に依頼するメリット4つ

遺産分割協議書の作成を税理士に依頼するメリットはどの様なことがあるのでしょうか。

【1】時間のメリット

税理士に相談するメリットとしてあげられるのはまず「時間のメリット」です。相続が発生するとやらなければならない手続きが膨大に出てきます。そしてその中には期限が設けられている手続きもあります。その様な中で、遺産分割協議を行い、自分で遺産相続協議書を作成するというのはかなり負担が大きいものになります。それを税理士にお願いすることによって、速やかに正しい内容で作成してもらうことができます。

なお、相続の各手続きの期限は次の様になっています。死亡届は7日以内。相続放棄・限定承認は3ヶ月以内。準確定申告は4ヶ月以内。相続税申告は10ヶ月以内。遺産分割協議については期限があるわけではありませんが、早急に始めるべきです。それは、相続放棄・限定承認は3ヶ月以内となっているため、それまでに相続内容が決定されている必要があります。

【2】ペナルティ回避のメリット

税理士に相談することで、遺産相続協議書を作成すること以外のことも間違い無く手続きすることができます。期限付きの手続きの中には、期限を過ぎた時にペナルティが発生するものもあります。それぞれ期限を過ぎると「無申告加算税」や「延滞金」などが課せられます。このペナルティを回避するためにも、税理士に相談するメリットがあります。

【3】有効な控除を使えるメリット

税理士に相談することで、相続時に使える有効な控除を活用することができます。これらの控除は相続申告しなければ受けられませんが、自分だけで手続きをしようとしても正しい知識が無ければ、対応は難しいものです。税理士に相談して、相続税申告をすることによって、適用条件を正しく判断することができます。そして、控除対象に該当すれば控除を受けることができます。これらの控除には、小規模宅地の特例や配偶者控除があります。

【4】二次相続を踏まえた節税のメリット

二次相続とは両親が亡くなった時の相続のことです。一方、一次相続は相続人に配偶者がいる場合の相続です。場合によっては、先ほど紹介した「配偶者控除」を使わず、直接子が相続した方が節税になる場合があります。その様なケースで、配偶者が一旦相続した方が良いのか、直接子が相続した方が良いのかは、税理士に相談することで、総合的な判断をすることができます。

3)遺産分割協議書の作成を税理士に依頼する時の注意点

遺産分割協議書の作成を税理士に依頼する時には、どんな税理士に依頼しても良いというものではありません。それでは、税理士に依頼する際の注意点としては、どの様なことがあるでしょうか。

【1】相続に詳しくない税理士に依頼してしまう

遺産分割協議書の作成を税理士にする場合、依頼する税理士が相続の専門であるかどうかを確認しましょう。税金にも所得税、法人税、相続税、贈与税、消費税、事業税と様々な種類があり、税理士にもそれぞれ得意、不得意の分野があります。そのため、依頼する税理士が相続に精通している税理士であるかを、まずは確認しましょう。

【2】実績件数を確認する

相談する税理士が相続に詳しいかどうかの確認のために、その税理士の相続対応の実績件数を確認しましょう。税理士によっては年間数件しか相続の案件を扱っていない税理士もいます。そのような税理士では申告手続きはできるものの、相続に関するノウハウには乏しいため相談するには心許ない状況になります。できれば、相続の経験が豊かで節税やそのその他の部分まで相談にのってくれる税理士を選ぶ様にしましょう。また相続税の手続きは半年から場合によっては1年近くの長い付き合いになるため、一度会って税理士との相性も確認しておくと安心です。

電卓とパソコン

4)税理士に依頼する場合の費用の相場は?

税理士に依頼する場合は、税理士報酬が費用として発生します。一般的には「基本報酬」と、土地や相続人の人数による「加算金」によって計算されます。遺産分割協議書の作成だけを依頼すると言うよりも、相続に関する手続きを総合的に相談する形になります。税理士報酬の相場ですが、多くの場合、相続規模によって異なります。例として、相続財産1億円、相続人3人の場合を見てみましょう。

大手税理士法人だと、基本報酬が、50万円前後です。加算報酬としては、22万円前後です。合計で、72万円前後を見込んでおきましょう。中堅税理士法人の場合、基本報酬は40万円以上。加算報酬は19万円以上です。合計で、59万円以上を見込んでおきましょう。正確な金額については、税理士事務所に見積りを依頼することで確認することができます。

5)税理士に依頼する期間

税理士にはいつまでに依頼して、どのくらいの期間対応してもらえば良いのでしょうか。一般的に、相続の手続きはおよそ半年かかると言われています。そして、相続税申告は被相続人の死後10ヶ月以内に行うことになっています。しかし、被相続人の確定申告をする場合は、4ヶ月以内に申告をする必要があります。そのため、遅くとも被相続人の死後4ヶ月以内には依頼する必要があります。

流れとしては、まず必要書類の収集を行います。次に、被相続人(故人)の確定申告を行います。この時に、被相続人に不動産所得がある場合には、確定申告を4ヶ月以内に行う必要があります。続いて、税理士が土地の役所調査と現地調査をして土地の査定を行います。この際には、被相続人も現地調査で立ち会う必要があります。

この後、財産の査定結果をもとに、税理士が財産(遺産)目録の作成のために相続人と面談を重ね、仮の相続税額を計算します。その上でやっと、税理士と相続人全員で、遺産分割協議を行います。協議で遺産の分割方法を取り決めたら、税理士が遺産分割協議書と相続人申告書を作成するので、相続人全員が署名と捺印をします。税理士が相続税申告書を管轄の税務署に提出すると、控えが送付されてきます。最後に、税理士が相続税の納付書を作成して相続人に渡します。そして納付期限までに銀行などで相続税を納めます。

キーボードと男性

6)遺産分割協議に関するQ&Aコーナー

【Q1】遺産分割協議でもめて遺産分割協議書が作成できない場合はどうなるの?

遺産分割協議が様々な事情によって、まとまらない場合、家庭裁判所の遺産分割調停を利用することができます。調停は、相続人のうち1人あるいは複数人が、管轄となる家庭裁判所に申し立てを行うことで発生します。この際に調停委員は、当事者間の希望や意見をヒヤリングします。その上で、解決案を提案して、アドバイスを行います。調停を行っても、遺産分割が不成立となった場合、審判の手続きを行います。審判では、裁判官が遺産に関する事案を審理して、最終的な審判をくだします。家庭裁判所における調停や審判を行っている期間は、預貯金の引き出しや土地の利用に制限がかかります。遺産分割調停は最近長期化しており、中には1年以上に及ぶケースも出ています。

【Q2】遺産分割協議が長引いた場合の注意点は何?

相続税の申告期限は、相続があったことを知った日から10ヶ月以内です。もし、遺産分割協議がそれ以上に及ぶ場合には、この申告期限に間に合わなくなります。相続税の申告期限に間に合わない場合、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例などの特例を受けられません。また調停は平日に行われるため、仕事を休む必要も出てきます。加えて、家庭裁判所までの交通費もかかります。遺産分割協議が長引き調停になった場合には、時間と金銭的負担がかかることを想定する必要があります。

【Q3】遺産分割協議書が不要なケースはあるの?

相続手続きで遺産分割協議書がなくても良いケースもあります。それは、次のような場合です。まず、相続人が1人だけの場合です。次に、遺言書のとおりに遺産分割する場合です。もうひとつは、遺産が現金・預金だけの場合です。相続人が1人だけの場合は、遺産をすべて1人で相続するため遺産分割協議書は不要です。また、遺言書があってそのとおりに遺産を分ける場合は、遺産分割協議書は不要です。相続の手続きでは遺言書を提出します。そして、故人が自宅で保管していた現金を分け合うときはどこかに届け出る必要は無いため、遺産分割協議書を作成する必要もありません。






まとめ

遺産分割協議書は相続が発生する際に相続人が集まって協議を行い、その結果を公的な書類にするものです。遺産分割協議書の作成は必須ではありませんが、財産をスムーズに相続するため作成することが好ましいです。また後々のトラブル防止のためにも有効です。

参照

相続税理士相談Cafe(https://www.happy-souzoku.jp/)
税理士法人チェスター(https://chester-souzoku.com/)
相続税ステーションあすか(https://souzoku-station.tokyo/)
相続税相談広場(https://souzokuzeihiroba.com/)
相続弁護士ナビ(https://souzoku-pro.info/)

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髙村健一

1973年4月26日神奈川県生まれ。髙村税理士事務所代表・株式会社トラストコンサルティング代表取締役。オーナー系企業・個人の富裕層向け税務コンサルティング、アドバイザリー業務を得意分野とする。LEC東京リーガルマインドの講師など、全国で講演活動やセミナーを実施。研修講演等実績:大同生命・ジブラルタ生命・三井住友海上あいおい生命・アクサ生命他。執筆実績:清文社「間違わない事業承継Q&A」(共著)・観光経済新聞社「税肉を落とす」日本金融通信社「ニッキンマネー・節税のノウハウ」他

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1973年4月26日神奈川県生まれ。髙村税理士事務所代表・株式会社トラストコンサルティング代表取締役。オーナー系企業・個人の富裕層向け税務コンサルティング、アドバイザリー業務を得意分野とする。LEC東京リーガルマインドの講師など、全国で講演活動やセミナーを実施。研修講演等実績:大同生命・ジブラルタ生命・三井住友海上あいおい生命・アクサ生命他。執筆実績:清文社「間違わない事業承継Q&A」(共著)・観光経済新聞社「税肉を落とす」日本金融通信社「ニッキンマネー・節税のノウハウ」他