新常識!株で節税を達成させる8つの極意

株の利益には一律に税金がかかりますが、節税方法には様々あり、どれも基本は確定申告が必要となります。しかし確定申告に馴染まない人も多く、さらに口座の種類の違いやどのような節税対策があるのか複雑で分かりにくく、多くの方がそのまま税金を支払っているのが現状です。そこで今回は株の基本的な仕組みと節税を達成する方法について詳しく解説します。






1)株に関係する税金にはどんなものがある?メカニズムとは?

【1】株の利益にかかる税金の種類

株の利益にかかる税金には、株式を売買することで出る売却益にかかる譲渡益課税と、株式の配当金にかかる配当課税の2種類があります。こことで言う売却益とは、簡単に説明すると安く買って、高く売ることの差額分が利益のことで、分配金とは、株式会社が得た利益を、株主に還元するために配る一株当たりのお金のことです。その利益にかかる税率は原則、譲渡益課税と配当課税のどちらも一律20.315%です。

【2】税制の仕組み

(1)売却益にかかる税金

株式を売却して得た利益には、会社員の給与所得や個人事業主の事業所得などとは別枠で、一律20.315%の税金が課税されます。ここで言う利益とは、株の譲渡価格(売却収入)から株式の取得費用(購入代金)と手数料などの費用を差し引いた金額のことで、計算式は次のようになります。

利益=譲渡価格-取得費用-手数料等

税額=利益×20.315%

※20.315%の内訳は「所得税:15.315% ・住民税:5%」です。所得税には2013年1月から2037年末まで、東日本大震災の復興特別所得税として所得税15%に2.1%を乗じた0.315%が上乗せされており、15.315%となっています。

(2)配当金にかかる税金

配当金による利益にも、原則として20.315%の税金が課税されます。税金の計算式は、次のようになります。

税額=利益(配当金総額)×20.315%

内訳は、売却益にかかる税率と同じです。

ビジネスウーマン 3

2)解説できる口座は3種類

【1】証券会社等で解説できる口座の種類

株で得た利益には前述のとおり税金がかかりますので、原則、確定申告をする必要があります。ただし、確定申告をしなくて済むように証券会社に税金を「源泉徴収」をしてもらう方法などがあり、現在3種類の口座を選ぶことができます。

(1)特定口座(源泉徴収あり)

(2)特定口座(源泉徴収なし)

(3)一般口座

【2】「特定口座・源泉徴収あり」

次に口座の種類についてそれぞれ説明していきます。「特定口座・源泉徴収あり」の場合、株式の売買で利益が出た場合は証券会社が税金を源泉徴収してくれるので、確定申告の必要がなくなります。また、年間の取引をまとめた「年間取引報告書」を証券会社が年始に送ってくれますので、いちいち計算する必要はありません。

ただし、この「確定申告が不要」というのは一見すると楽でメリットが大きいように思えますが、1つデメリットがあります。それは利益額の大小に関わらず株式投資で利益が発生すると利益額の20.315%が必ず差し引かれてしまうことです。つまり、本来でしたら税務申告の対象にはならない、会社の給与所得以外の収入が20万円以下のケースでも税金が課されてしまうことです。

20万円を超える利益が株式投資で発生するケースでは「特定口座・源泉徴収あり」は便利ですが、利益額が20万円以下のケースでは本来なら支払いが不要な税金が発生してしまうので注意が必要です。

【3】特定口座(源泉徴収なし)

「特定口座・源泉なし」を選んだ場合、売却益の税金は天引きされずにそのまま支払われますので、確定申告は自分でしなくてはいけません。ただし年間取引報告書は送ってくれるので、それをもとに自分で確定申告をすることができます。

この口座であれば、確定申告は必要となりますが、どちらにしても節税には確定申告が必須となりますので、利益額が20万円以下のケースのメリットと税務申告時の手間の少なさを考えると、おススメの口座となります。

【4】一般口座

「一般口座」の場合は、「特定口座・源泉徴収あり」と同様に株式投資で発生する利益額に対して税金が自動で差し引かれることはなく、課税対象金額の計算も自分で行う必要があります。つまり、確定申告も、年間取引の計算も全て自分で行う必要があるのです。これは正直素人が手出しできる領域ではありません。正確に算出するにはとても手間がかかり、計算方法も複雑で間違いやすいですので、株式投資にまだ不慣れな方は、特定口座での開設をおススメします。

確定申告 申請

3)確定申告による株式の節税方法!3つのチェック項目とは?

【1】チェック1:損益通算について

株の売買で利益が出た場合、納税には原則、確定申告をしなければならないことは触れてきましたが、損失が出た場合はどうでしょうか。もちろん税金を納める必要はありませんから、確定申告の必要はありません。しかし、証券口座をいくつも持っている場合や、他に上場投資信託などの取引をしている場合で利益が出ているならば、確定申告により株の損失と相殺して利益をなかったことにできます。

たとえば、1年間で取引120万円の利益、他の取引では100万円の損失が出た場合、相殺することで利益を20万円とすることができるのです。また、上場株式等の譲渡損失は、配当金と損益通算をすることも可能です。さらに2016年1月から上場株式(公募株式投信含む)、公社債(特定公社債)・公社債投信(公募公社債投信)の間でも、損益通算ができるので、対象範囲が広くなり、認知度も高くなっているため、該当する場合は必ず活用してください。

【2】チェック2:譲渡損失の繰越控除

株式を売却した損失がその年の利益と損益通算したとしても、損失が多いために相殺しきれないことがあります。その場合、今年に相殺しきれなかった株式の損失を来年以降に持ち越すことができます。これを「上場株式にかかる譲渡損失の損益通算および繰越控除」といい、最大3年間繰り越すことが可能です。

やることと言えば、株式投資で損失が発生した年度に確定申告を通して損失を申告するだけです。要するに損失の申告さえすれば、誰でも利用できてしまうのです。

損失を出した年度に確定申告をするのは面倒に感じるかもしれませんが、少しの手間で翌年度以降の税金対策に繋がるので費用対効果は大きく、リスクの大きい株式投資をしている場合は、必須の節税対策となります。ただし、3年間繰り越すには、毎年確定申告が必要になりますので注意してください。また、確定申告をし忘れていた場合も、遡って申告ができますので、3年以内に損失が出ている場合は、税務署に相談することをおススメします。

【3】チェック3:配当控除

配当控除とは、所得控除の一つで、配当金の納税方法を総合課税で選択している場合に受けられる控除です。

配当控除のメリットは、申告分離課税では一律20.315%の税率がかかりますが、総合課税を選択した場合は最大13%程税率を抑えることができ半額以下にできます。メリットとなる目安が、配当所得を含めた課税所得の合計695万円を下回る場合となりますが、国民健康保険料、児童手当、所得控除(扶養控除、配偶者控除)などに関わり、保険料が増額になる場合や控除が受けられなくなる場合もあるので、注意が必要となります。

さらに配当控除の適用を受けた場合は、損益通算、譲渡損失の繰越控除も受けられなくなりますので、どちらのメリットが大きいかは税務署に相談して決めることをおススメします。ただし、会社員ではない個人事業主などで収入が少ない方であれば、確実にメリットがありますので。活用を検討してみください。配当控除が対象になる配当は以下の通りです。

・国内株式(非上場株式を含む)の配当金

・国内上場株式投資信託の分配金

・国内優先出資証券の配当金

4)実は知られていない株の税金対策がある?

【1】ポイント1:経費申請を行う

株取引の経費として使えそうなものとしては、取引に使うネット回線のプロバイダ料、スマホ代(通信費)、株に関する書籍購入費(新聞図書費)、有料メルマガ・投資セミナーの費用などがあります。通信費などは、株取引以外の目的に使う部分もあるので、家事按分の要領で使用時間等の基準に応じて3割を目安に経費算入することができます。

ただし、必要経費の定義ではなく、該当する項目は幅広いため、交通費、通信費も含めることができる一方、認められるためには、株取引との関連性を合理的に示す必要があります。要は、株譲渡で利益を得ることがその費用の支出の理由であるならば、経費としての根拠にすることは可能と言えます。

この経費については、税務署でも返事はバラバラになりことがあります。つまりあまり知られていないのです。個人事業主が経費に計上するように、株式投資においても計上できるのかは意見が分かれていることがありますが、確定申告により申請が可能となりますので、専門家に相談してから行うことをおススメします。

【2】ポイント2:総合課税の選択による所得控除の活用

先程、配当控除において総合課税について触れましたが、他にもメリットがあります。それは、個人事業主やトレーダーやサラリーマンであっても、所得が少なく基礎控除、配偶者控除、国民年金保険料控除などで控除しきれなかった分は、株の利益を控除することで税金を抑えられるのです。これは本当に知られていない情報であり、該当者は多くないかもしれませんが、個人事業主であれば比較的使いやすい節税対策ではないかと思います。では、その例を下記に記載します。

・株式等の譲渡所得等:100万

・給与所得:100万

・所得控除>給与所得(所得控除:150万)

・株式等の譲渡所得等(100万)を申告した場合は、株式等の譲渡所得等から残りの所得控除分(50万)を

控除することができる(100万-50万)

しかし、総合課税を選択することになるため、株式の利益も累進課税の対象となり、国民健康保険料の増額につながる場合もあります。どちらを選択するかについては、①還付される金額と②国民健康保険料の増加分でどちらが得かで選択することになりますので、ぜひ試算してみてください。試算の結果、還付される金額が上回るのであれば、確定申告した方が得になります。

【3】ポイント3:不動産所得の活用

不動産所得は、株などの損失とは損益通算できません。しかし逆に不動産所得の赤字分については、株の利益と損益通算が可能なのです。では家賃収入を得ているならば赤字にならないのではないかと思われますが、実際は違います。不動産所得には、住宅ローン、減価償却費、交通費、パソコン代などなどを経費として計上できるため、実際は収益があっても、税制上では赤字にすることができるのです。

サラリーマンでも不動産投資と最近テレビCMでも取り上げらえているのは、マンションなどの購入代金を毎月の家賃収入で賄うことが大きいですが、それ以外に不動産所得の赤字分を所得から控除することができるメリットがあるからなのです。

NISA ビジネス 積み木

5)NISA口座って何?どんなメリットや注意点があるの?

【1】NISA口座の非課税範囲

NISAのメリットはなんといっても、120万円までの投資なら株や投資信託などで得た利益に税金がかからないことです。通常、株の利益には20.315%の税金がかかりますが、NISAなら非課税になります。ただし、注意が必要な点があります。それはNISAでは売却益の120万円までが非課税になるというわけではありません。120万円の資金で購入した株に対して、儲けた売却益への税金が免除になる制度です。

例えば、120万円の株を買って150万円で売った場合、売却益30万円が非課税になるのです。非課税となるのは、どの節税対策よりもメリットが大きいものです。投資信託など安定収入が得られるような投資に向いていると言えますが、配当金目当てで長期保有の株式にも十分活用できる制度となります。

【2】ジュニアNISAについて

ジュニアNISAとは0歳から19歳までの人が開設できる口座です。NISAと比べると税金の優遇されるさえ金額は少なく年間80万円までです。しかし、利益が毎年非課税になるメリットは大きいと言えます。さらにNISAは1人1つ持つことができるので、子供の人数分80万円分上乗せできます。子どもの教育資金の積み立てにおススメです。ただし、原則的に18歳になるまでは払い出しができないので注意が必要です。

【3】損益通算ができない

NISA口座内で出た損失については、非課税対象なのでその他の口座での利益と相殺することができません。

トータルで見ると損失にもかかわらず、NISA口座の損失は損益通算できないため、税金が発生するデメリットがあります。そのため、NISA口座で購入する株式等は、より慎重さを求められると言えます。

【4】譲渡損失の繰越控除ができない

通常、特定口座や一般口座であれば、先述したように確定申告することでその年に出た損失を3年間繰り越し、税金の繰越控除を受けられますが、NISA口座ではそれができません。NISA口座では、利益に対する非課税メリットがある一方、損失時にリスク軽減が図れないデメリットがあります。株式投資はただでさえリスクが高く、常に損失のリスクを抱えながらであるため、リスク軽減が図れないNISA口座の株式投資は、利益ばかりを考えるよりも、損失が出た場合のことも頭に入れて選択することが必要となります。






まとめ

【1】株式投資で得られる利益に対する税金の支払い方法は、開設口座によって異なるので、利益が年間20万円以上になるかどうかで特定口座の源泉泉徴収あり、なしを決めると良い

【2】株式投資の納税方法は、申告分離課税と総合課税方式があり、総合課税であれば配当控除や所得控除を株式投資の利益に活用することができるが、デメリットもあるため慎重に検討すると良い

【3】節税対策においてあまり知られていない方法として経費の計上があるが、確実に活用できるものではないので、税務署に相談する前にしっかり勉強や、専門家に相談してから行うこと良い

【4】NISA口座にはさまざまな制限やデメリットがあるが、非課税なのは最大のメリットになるため、長期で安定的に利益を得られるような株式に活用すると良い

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髙村健一

1973年4月26日神奈川県生まれ。髙村税理士事務所代表・株式会社トラストコンサルティング代表取締役。オーナー系企業・個人の富裕層向け税務コンサルティング、アドバイザリー業務を得意分野とする。LEC東京リーガルマインドの講師など、全国で講演活動やセミナーを実施。研修講演等実績:大同生命・ジブラルタ生命・三井住友海上あいおい生命・アクサ生命他。執筆実績:清文社「間違わない事業承継Q&A」(共著)・観光経済新聞社「税肉を落とす」日本金融通信社「ニッキンマネー・節税のノウハウ」他

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1973年4月26日神奈川県生まれ。髙村税理士事務所代表・株式会社トラストコンサルティング代表取締役。オーナー系企業・個人の富裕層向け税務コンサルティング、アドバイザリー業務を得意分野とする。LEC東京リーガルマインドの講師など、全国で講演活動やセミナーを実施。研修講演等実績:大同生命・ジブラルタ生命・三井住友海上あいおい生命・アクサ生命他。執筆実績:清文社「間違わない事業承継Q&A」(共著)・観光経済新聞社「税肉を落とす」日本金融通信社「ニッキンマネー・節税のノウハウ」他