税理士が伝えたい経費と税金に関連する12のお得な知識

税理士は税金のプロとして、依頼者が適正な納税義務を果たせるようにすることを主たる業務としていますが、依頼することの大きなメリットとしては、依頼者の収益に関わる税金額を最大限抑える節税のお手伝いができることです。そこで今回は税理士として伝えたい経費に関連する節税対策について詳しく解説します。






1)税理士の役割とは?

税理士は名称の通り「税務」の専門家のことです。独立した立場から、税に関する法令に規定された納税義務の適正を図ることを業務としています。主な業務には、「税務代理」「税務書類の作成」「税務相談」の3つがあり、今回はその中の「税務相談」においてよく相談を受ける節税のノウハウについて説明していきたいと思います。

例えば、自営業やフリーランスなどの場合、支払う税金は所得税と個人事業税となります。一般的に収益が増えれば税金は高くなりますが、事業規模が大きくなればその分、会社の成長に必要な設備投資、交通費、共済など必要とされる費用も増えるため、経費に計上できる額も大きくなります。そこで、今回は誰でも節税メリットを享受できるように、自営業やフリーランスが支払うべき税金と、経費を中心とした節税に関わる内容について詳しく説明してきます。

2)自営業・フリーランスの支払う税金

【1】所得税

まずは、自営業や個人事業主であるフリーランスの場合の所得について説明します。所得とは、年間の収入から経費を引いたもので、その所得から所得控除を除いたものが課税所得となります。所得税はその課税所得に税率をかけて決まります。このように算出された所得税が支払わなければいけない税金となります。所得税の計算式は以下の通りです。

「収入」−「経費」−「各種控除」=「課税所得」

「課税所得」×「税率」−「課税控除」=「所得税」

複雑に見えるかもしれませんが、ここで一番分かってもらいたいことは、支払う「所得税」を下げるには、「経費」や「各種控除」を多く計上することが必要だと言うことです。

【2】個人事業税

個人事業税は地方税の1つで、所得が290万円以上になると、290万円を超えた金額に5%の個人事業税が掛かります。これはある程度事業規模が大きくならないと発生しない税金となります。ただし290万円以上の所得になると大きな負担となりますので、節税対策として経費の計上は重要となってきます。

特に個人事業税は、社会保険料等の各種控除や青色申告特別控除の65万円が適用できませんので、節税対策には経費の計上がとても重要になります。

指差しでワンポイントをするビジネスマン

3)押さえておきたい12のポイントとは?

【1】経費

次に今回のテーマである経費について説明していきます。自営業、フリーランスの場合、事業に関係する費用は経費として計上できますので、どの費用が対象となるか把握することが一番重要となります。

なぜなら自営業者、フリーランスに関わらず、経費は自ら計上し自己申告する必要があるため、何もしないと不要な税金まで払っていることになってしまうからです。

ではどのくらい経費を計上できるのかですが、結論から言うと明確な答えありません。しかし目安として示されているのが、例えば、デザイナー、プログラマー、アフィリエイター、ブロガー、ライターなどの経費の上限は収入の30~60%程度と言われています。

ただし、フリーランスの場合は、パソコン1台あれば仕事ができるケースも多いため、経費は20~30%程度の場合が多い傾向があります。もし計上する経費に迷う場合は、一度税理士に相談いただくと、正確な知識も身に付き、アドバイスもできますのでおススメします。

【2】青色専従者給与

青色専従者給与はまず抑えて欲しい節税対策で、事業に携わっている家族に支払う給与を経費として計上できる制度です。架空の計上は危険ですが、それほど手間なく家族間での節税効果を測れるとてもお得な制度となります。例えば、領収書の整理、書類作成、スケジュールの管理などを担当した家族に報酬を支払うことで、最低でも基礎控除、給与所得控除の合計103万円まで所得控除のメリットが受けられます。

また、支給する青色専従者の人数分を所得を分散させられるため、累進課税である税率を低く抑えられるメリットが受けられます。さらに、住民税、国民健康保険料の所得割額、個人事業税の節税対策にもなりますので、2重、3重のメリットが受けられます。専従者控除のデメリットとしては、38万円の配偶者控除が受けられなくなることが挙げられますが、それよりもはるかに大きなメリットを享受できる制度と言えますので、ぜひ試算してみてください。

【3】家賃(自宅兼事務所)

フリーランスなどの場合、オフィスをいきなり用意することは少ないかと思います。おそらく自宅を兼用で使用する場合が多く、その場合は家賃の一部が経費として計上できます。また、事業で車を使用する場合は、駐車場の月極料金も対象になります。

ただし、あくまで事業に使用した分のみが対象となるので、経費として計上できる割合は具体的にどのくらい仕事で使用しているかによるので、経費にできる上限は一般的に30~60%程度が常識の範囲となります。

ここで重要な点は、普段の生活で支払っている家賃や駐車料金を経費に計上できるところです。これは新たに購入して準備するものとは違って、既に支払っているものであるため、計上分の全てが丸儲けとなりとてもお得な情報なのでぜひ検討してみてください。

(1)按分方法

賃貸住宅などを仕事と兼用で使用する場合の按分方法は2パターンあり、「作業時間」か「専有面積」で計算します。作業時間で算出する場合は、例えば、自宅で1日8時間作業している場合、8(時間)÷24(時間)=3となり、家賃の「3割」を経費として計上できます。

専有面積で算出する場合は、家全体の広さが50㎡で、仕事スペースが20㎡の場合、20(㎡)÷50(㎡)=4となり、家賃の「4割」を経費として計上できます。仕事スペースとは住居スペースのうち、仕事で使うパソコン、机、棚など業務に使用している面積の割合のことです。ただし、専用事務所の場合は、100%家賃を経費にすることができます。このように、計上する根拠を明確にしておくことが大事になりますので、漠然と計上していては、後で税務調査に指摘される要因になりますので注意してください。

(2)住宅ローンの利息や固定資産税

家賃と同じで、自宅兼事務所で働いている場合は、住宅ローンの借入金の「元金」は経費にできませんが、住宅ローンの金利は「支払利息」として経費にできます。

また、住宅の購入費用も「減価償却費」として経費にすることが可能です。さらに、これはとてもお得な情報ですが、持ち家の場合でも、固定資産税を「租税公課」として経費にできます。つまり、自宅を兼用で使用している場合はどの場合でも経費に計上することができるのです、ぜひ検討してみてください。

家と電球

【4】光熱費

自宅で仕事をしている場合は、家賃と同様に「光熱費」も経費にできます。フリーランス等はパソコンを使って作業をするため、仕事中に消費した電気代は経費として計上できます。ただし、水道代やガス代は基本的に経費として認められないケースが多いので、無理に計上することは避けた方がよいです。算出方法は、光熱費も家賃と同様に、「使用時間」「専有面積」から算出します。もし家賃で按分が出ている場合は、揃えるのが一般的です。

【5】旅費交通費

外部での打ち合わせ先に向かう交通費はもちろん経費となり、電車、タクシーなどでかかる交通費の他に、宿泊代も旅費として含められます。また、業務のために車を使用した場合は、駐車場代、ガソリン代、高速道路の通行料金、自動車税、車検代、自動車保険など、車にかかる費用は経費として計上することができます。

ただし自家用車を事業とプライベート兼用で使用している場合は、走行距離で算出して按分することになります。

例えばガソリン代であれば、業務として使用したことを証明するために、レシートにメモしておくことは当然ですが、燃費と走行距離から金額を計上して、按分する方法がもっとも説得力がありますのでおススメします。

<「旅費交通費」として計上できる項目一覧>

・バス代、電車代、タクシー代
・航空券代
・ガソリン代
・高速道路、有料道路通行料金
・出張旅費
・駐輪・駐車場代など

【6】通信費

仕事で利用した電話代やインターネット代、切手代などは、通信費として計上できます。自宅で仕事をしている場合であれば、インターネット代(プロバイダ等)は必須となり、インターネットを仕事とプライベートの使用時間で按分することで計上することが可能です。

フリーランスなどの場合であれば、スマホ1台を仕事とプライベート兼用で使用していることも多いかと思いますので、その場合はスマホの通信費や電話代の一部も経費にできます。例えば、プライベート40%、事業60%程の使用割合なら、スマホ利用料金、端末代の60%を経費にできます。

このようにどの程度を経費にするかは曖昧な面が多く残っていますが、常識の範囲で根拠を明確にしておいてください。税理士としておススメしたい点は、家賃のように、既に生活で支払っているものを、いかに経費に計上できるかどうかだと考えています。按分のコツさえしっかり理解できれば、フリーランスなどの場合は、経費を最大限活かせることができるようになるのです。経費とは事業に関わる費用のことなので、根拠さえ明確になっていれば経費に計上できる可能性は高く、支出した項目を全て確認してみることと、そのレシートなどの証拠は必ず残しておくことが大事になります。

【7】パソコン関連の購入代

自営業者やフリーランスに限らず、パソコンを使って仕事をすることは世の中の常識となっているため、業務のために購入したパソコン、ディスプレイやマウスなどの周辺機器は、すべて経費として計上できます。ただし、パソコンのように高額となる場合は、購入金額により処理方法が異なりますので注意してください。

(1)「10万円未満」のパソコンを購入した場合は、「消耗品費」として購入した年に、一括で経費処理できる

(2)「10万円以上~20万円未満」のパソコンを購入した場合は、原則4年にわたって減価償却することになり、「一括償却資産」として3年で4万円ずつ処理することが可能

(3)青色申告者の場合は、特例で「30万円未満」まで購入した年に一括処理することが可能

このパソコン代は、経費のもっとも分かりやすい費用となります。必ず新たに購入した場合は計上してください。

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【8】セミナー参加費など

事業を開始して間もない時期は、スキルアップのために、セミナーへの参加や情報商材の購入、コンサルティングを受ける人も多いかと思います。このように事業につながる出費は全て経費にすることができます。

積極的にセミナーなどに参加して人脈を作ることは、最大の武器となり将来大きな手助けとなるかもしれません。

商売においては情報を制する者が、誰よりも大きな利益を得られます。そのような視点で積極的に参加してみてください。我々税理士とのコネクションも必ず商売の大きな武器となりますのでぜひ協力させてください。

【9】接待交際費

事業をしていれば顧客や取引先などと打ち合わせで、喫茶店を利用することは多いかと思います。そこでのコーヒー代などは仕事に関わる接待費用として経費にできます。また、広告代理店、クライアント、デザイナーなど、仕事の関係者とであれば、情報交換する機会ともなり、飲み物に限らず食事であっても経費にすることができます。

しかし、接待交際費は最もプライベートと仕事との線引きが曖昧になりがちであるため、税務署も一番見てくる項目となります。誰と食事したのかまではチェックされませんが、事業の規模に対して過剰に計上すると、目を付けられやすくなりますので常識の範囲内に留めることをおススメします。

接待交際費は、税務調査においても節税と脱税の見極めの重要な項目となりますので、この費用で疑われるようなことがあれば、その他の費用にも波及する恐れがありますので注意してください。

【10】小規模企業共済

小規模企業共済は、名称は小規模企業とありますが、企業だけでなく個人でも加入できる個人事業主向けの退職金共済制度です。フリーランスなどには、法人のような明確な退職金制度がないため、もし廃業してしまった場合、とたんに無収入となってしまうリスクがあります。そのリスクを緩和するため、退職金積み立ての役割を持った小規模企業共済は、フリーランスなどにとってニーズの高い制度と言えます。

内容としては、小規模企業共済の掛け金として、月当たり1,000円から7万円の間で自由に設定でき、掛け金全額が控除対象になります。例えば、課税所得が200万円のフリーランスの場合、毎月1万円の掛け金を払った場合は、2万700円の節税ができます。当然掛け金が多くなればなるほど、節税額も大きくなりますので、負担のない範囲で加入することで、節税と老後資金の対策にすることができます。

これだけを聞くと最近流行り出した401kとかiDeCoのような確定拠出年金と近しい制度と思われますが、小規模企業共済のほうが圧倒的に優れているメリットがいくつもあります。

1つ目は、解約をすると掛けたお金を解約手当金として受け取ることになりますが、掛金納付月数が240ヶ月(20年)以上になると解約手当金として、掛金分100%受け取ることができることです。 2つ目は、掛け金を担保に資金の借り入れも可能になる上に、共済金の受け取り方として一括か分割が選べますので、一括で受け取った場合、退職所得の節税メリットが受けられることです。

なぜ退職所得にすることでメリットがあるかと言うと、退職所得の場合、5年以上勤務した役員に対しては、課税金額を退職金から退職所得控除を差し引いて、さらに1/2にすることができる上に、他の所得と分離されるため累進課税率を低く抑えることができるので大幅な節税効果を得られるからです。つまり、退職所得として一時金で受け取る場合は、利益分にほとんど税金がかからず受け取れるメリットがあるのです。

ビジネス リスク

【11】経営セーフティ共済

経営セーフティ共済は、取引先の予期せぬ倒産による連鎖倒産から、中小企業や個人事業主を守る制度です。

取引先が倒産して売掛金債権などが回収困難となった時に、共済金の貸し付けなどの救済措置が受けられます。資金繰りが悪くなった際の保険ではありますが、フリーランスにとっては、税制上の優遇が大きな魅力となります。

掛け金は月額で5,000円から20万円まで、初年度は最大で23ヶ月分、金額にして最高460万円をその年の経費にすることができ、総額では、800万円(40ヶ月分)まで積み立てることができます。

さらに40か月以上積み立てることで、解約しても全額戻ってくるようになるため、倒産リスクの軽減だけでなく、節税メリットもあるメリットの大きな制度と言えます。

【12】税理士の活用

最後に税理士の活用について説明します。節税対策には、これまで触れてきた経費や各種控除以外にも、さまざまな知識・理解が必要となります。特に自営業やフリーランスの方は、税金の勉強をした方がいいとは思っていても、その時間が取れず手が付けられない方は結構いるかと思います。

また、税務に関する業務は、自分でやれば確かに費用は抑えられますが、税金関係の申請などは複雑で時間と労力を要する作業となるため、より多くの時間が割かれ、もっと本業に専念したいと思われていてもなかなかできなくなってしまします。

そこで強い味方になるのが税理士です。税理士を味方にすることは、節税効果の金額的メリットが得られることはもちろん、事業規模に応じた適切な節税対策や経営方針のアドバイスを受けられるため、経営における最大の武器となります。また、税金に関連する作業を委託することが可能となるので、事業運営を専念できるようにもなります。しっかり知識が身につくまではアドバイスを受け、知識が身に付いたのであれば自分でやればいいだけなので、まずは税理士に相談してみてください。きっとお手伝いができると思います。






まとめ

【1】フリーランスなどの節税で重要なことは、対象経費をしっかり理解し、事業と兼用している費用は按分ルールを守ることで、今まで計上できなかった生活上の費用も経費にすること

【2】フリーランスなどの場合、扶養控除などの所得控除や青色申告特別控除などは必須の節税対策ですが、個人事業税には適応できないので、経費を最大限計上することで税額を抑えること

【3】フリーランスなどは常にリスクが伴うため、節税効果を得るとともに、老後資金の準備や倒産リスクに備えて、小規模企業共済、経営セーフティ共済を活用すること

【4】税理士を活用することで、税金に関する知識を経営上の武器にすることができるだけでなく、委託することで本業に専念できるようにすること

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髙村健一

1973年4月26日神奈川県生まれ。髙村税理士事務所代表・株式会社トラストコンサルティング代表取締役。オーナー系企業・個人の富裕層向け税務コンサルティング、アドバイザリー業務を得意分野とする。LEC東京リーガルマインドの講師など、全国で講演活動やセミナーを実施。研修講演等実績:大同生命・ジブラルタ生命・三井住友海上あいおい生命・アクサ生命他。執筆実績:清文社「間違わない事業承継Q&A」(共著)・観光経済新聞社「税肉を落とす」日本金融通信社「ニッキンマネー・節税のノウハウ」他

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1973年4月26日神奈川県生まれ。髙村税理士事務所代表・株式会社トラストコンサルティング代表取締役。オーナー系企業・個人の富裕層向け税務コンサルティング、アドバイザリー業務を得意分野とする。LEC東京リーガルマインドの講師など、全国で講演活動やセミナーを実施。研修講演等実績:大同生命・ジブラルタ生命・三井住友海上あいおい生命・アクサ生命他。執筆実績:清文社「間違わない事業承継Q&A」(共著)・観光経済新聞社「税肉を落とす」日本金融通信社「ニッキンマネー・節税のノウハウ」他