金を売買した場合の税金知識!チェックすべき6つのこと

金は世界で共通の実物資産の一つとなります。有価証券や仮想通貨などとは異なり、価値は長期的に安定しているため、どのような時代においても魅力的な商品となります。しかし、将来に備えて金を購入したいと思っても、購入・売却に税金や手数料ががかることは余り知られていません。そこで、金の購入・売却をする前にチェックすべき内容について解説します。






1)金地金を売るときにかかる税金とは

【1】金地金とは

金地金(きんじがね)とは金塊のことで、インゴット、ゴールドバーなどとも呼ばれます。 金地金は世界共通の価値を持つ実物資産であり、株式や債券の値動きとの相関性が比較的低いことから、リスク分散効果を期待して保有する方も多くいます 。

株式や外貨、預金などは特定の金融機関によって価値が保証されているものなので金融資産と言われています。

それに対して実物資産は物自体に価値が存在しているので価値が無くなってしまうなどということがありません。従って、買取業者等に売りに出す場合、安定して高額の値がつくことになります。

【2】所得区分について

例えば、給与所得者などが持っている金地金を売却した場合の所得は、原則、譲渡所得として課税されます。給料など他の所得と合わせて総合課税の対象になります。原則、金買取で得た利益は譲渡所得として扱われますが、金による所得が継続的であったり、現物以外の取引で利益を取得した場合は、譲渡所得以外の所得として課税されます。

そこで金買取において頭に入れておきたい3つの所得区分について次に解説します。

(1)譲渡所得

個人で持っていた金を販売したときにかかるのが、先ほどもご説明した譲渡所得です。譲渡所得は、一般的に、土地、建物、株式、ゴルフ会員権などの資産を譲渡することによって生ずる所得をいいます。そして、所有期間によって短期譲渡所得、長期譲渡所得に別れ税率は異なってきます。

サラリーマンなど金を売却した場合の一般的な所得となりますので、後で詳しく解説します。

(2)雑所得

他の所得のいずれにも当たらない所得を雑所得いい、公的年金等、非営業用貸金の利子、著述家や作家以外の人が受ける原稿料や印税、講演料や放送謝金などが該当します。金の売買では、個人が営利目的で継続的に金を売って利益を得ている場合や純金積み立ての場合などは、雑所得扱いとなります。

この場合、金投資口座や金貯蓄口座などからの利益は金地金の現物の譲渡とは異なり、実態は金融取引に近いことから、金融類似商品の収益として一律20.315%(所得税及び復興特別所得税15.315%、地方税5%)の税率による源泉分離課税となります。

この分離課税は、源泉徴収だけで課税が終了しますので、他の所得と合算して確定申告をすることはできません。

(3)事業所得

事業所得としては、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業を営んでいる人のその事業から生ずる所得をいいます。ただし、 不動産の貸付けや山林の譲渡による所得は事業所得ではなく、原則として不動産所得や山林所得になります。

金の売買では個人レベルでは雑所得となりますが、事業規模で金を売って得た利益は事業所得になり、税率も事業所得の税率として計算されます。

税金 計算

2)税金はどのように計算すればいい?

【1】譲渡所得にも種類がある

サラリーマンなど一般的な所得区分である譲渡所得について詳しく解説します。金で得た利益は譲渡所得で計算され、給料などの所得と合算されて税金が計算されます。しかし、譲渡所得は所有期間により計算方法が次のように変わってきます。

(1)所有期間が5年以内の場合

金の所有期間が5年以内で売った場合に得た利益を「短期譲渡所得」といいます。短期譲渡所得にかかる税金を計算するには、金を売って得た利益(譲渡益)を計算する必要があります。

【譲渡益計算方法】

売却金額‐(取得価格+売却費用)=譲渡益

取得価格は購入したときの金の価格です。

売却費用は、金を売るときにかかった手数料や書類代などが当てはまり、それらを引いた金額が譲渡益です。

譲渡益がわかったら次に、短期譲渡所得を求めます。

【短期譲渡所得の計算方法】

(金の譲渡益)+(その他の譲渡益)-特別控除50万円 = 課税対象の所得

その他の譲渡益は、株などで得た譲渡益をいいます。

(2)所有期間が5年を超す場合

金の所有期間が5年を超えている場合に売却で得た利益を「長期譲渡所得」といいます。

譲渡益の出し方は短期譲渡所得と同じですが、長期譲渡所得で課税される金額は、短期譲渡所得の半分です。

【長期譲渡所得の計算方法】

{(金の譲渡益)+(その他の譲渡益)-特別控除50万円}÷2 = 課税対象の所得

売る金が5年以下のモノと、5年を超えるモノが混ざっている場合、特別控除は5年以下の譲渡益を優先的に控除します。

金を購入してから5年以上経った後に売りに出すことで、課税譲渡所得金額が1/2となるのでとてもお得になります。

【2】金を売って出た損失分は控除にできる

控除は譲渡所得・雑所得・事業所得ごとに決まりが違います。

(1)譲渡所得

譲渡所得で損失が出た場合、同一年の1月~12月の間で発生した譲渡所得の損失と利益を通算することができます。しかし、譲渡所得以外の損失の通算はできません。

これだけではイメージしにくいかと思いますので、下記の条件で計算例を挙げてみます。

【譲渡所得の損益】

金での損失…30万円

株式での利益…100万円

【譲渡益】

100万円(利益)‐30万円(損失)=70万円

【課税対象額】

70万円(譲渡益)‐50万円(控除額)=20万円

(2)雑所得

雑所得で損失が出た場合、譲渡所得のときと同様に、他の雑所得の損失と利益の通算が可能です。サラリーマンで給与収入が2,000万円以下で、その他の所得合計が20万円以下の場合は確定申告をする必要はありません。

例えば、純金積立を行っている場合は事業ではないが、営利を目的として継続的に売買を行っているため雑所得として処理されるケースが主となっています。純金積立等で雑所得となった場合、計算式は、雑所得=雑収入金額-必要経費となります。

(3)事業所得

金地金の売買を営利目的として繰り返し行われている場合は、事業所得と区分されます。

事業所得で出た損失は、他の所得と通算でき、通算して純損失が残ってしまった場合、青色申告をすることで翌年から3年間は、所得金額から繰り越しで控除することや、前年への繰り戻し還付ができます。損失を出さないためには、あらかじめ売却額の計算をしておくのはもちろん、高く売れる買取店を探すのも大切となります。

金 売る

3)金の売却に必要な支払調書制度って?

【1】金地金支払調書制度とは

金地金を売却した場合、原則支払調書を提出する必要があります。この支払調書には売った本人の住所やマイナンバーといった個人情報から買取金額まで全て掲載されるので、確実に税務署に伝わってしまいます。

しかし、金地金を売却しても伝わらない方法があります。 先ほど記載したように、支払調書を提出することでマイナンバーを含む全ての情報が筒抜けになってしまうわけですが、この支払調書は200万未満の売却額であれば提出する義務はないからです。

つまりは、金地金の売却時にその金額を200万未満に抑えれば良いということです。金やプラチナは小分け・分割することで実質無税にすることは可能となりますが、税理士事務所などに相談することをおススメします。

【2】金、売却のための精錬分割加工サービスの作業内容や手順について

金やプラチナなどのインゴットは、買取の価格はその売却時の重量に比例して高くなります。その為、そのまま大きな一本で売ってしまうと売却額が200万円以上となってしまい、支払調書の提出義務&納税義務が発生してしまいます。

一つでまとめても、小分けにして売却しても重量で金額が決まるため、合計金額に変わりはありません。そのため、1つあたりの金額を200万円未満にして、数回に分けて売却することで、支払調書の提出義務がなくなります。そして更に一つの売却額が50万未満であれば、確実に金地金に対する課税はなくなるので、安全な方法で無税にすることもできます。

金地金を売りたいけどマイナンバーや税金が怖いと思っている人は、小分け精錬加工を行うことで解決することができますので、検討することをおススメします。

金を売る男性

5)手数料はどうなるの?

【1】原則手数料はかからない

金地金を初めて購入する人は、手数料はかかるのか気になる方は多いかと思います。実は、500gなどの金地金の売買では通常、手数料はかかりません。多くの方が「手数料がかかる」と思われているのは、株の取引をイメージしているからかもしれません。

しかし手数料はかかりませんが、金地金には販売価格と買取価格の2種類があり、このスプレッド(販売価格と買取価格との差額)の一部が業者の収益となっています。つまり業者は金地金そのものの値段に自社の取り分を上乗せして販売価格と買取価格を決めており、お客側からすればこのスプレッドが売買コストになるという訳です。

そのため、株とは異なり、販売価格やスプレッドは業者によってマチマチになります。同じような仕組みは、身近なところでは円を外貨にする時の交換レートやFXの取引レートなどに見られます。

金地金も、仕組みは同じですが、金地金の取扱業者は中値を公表していませんが、インターネットなどで簡単に確認することはできますので、一番お得なところを探すことをおススメします。

【2】スプレッドは狭いほど有利

では、金地金(1kg)の販売価格と買取価格とのスプレッドはどのくらいあるのでしょうか。

各社のスプレッドを比べてみると、だいたい3万~10万円までと大きな開きがあります。一般的には貴金属商よりも商品取引会社の方が、販売価格が安く、スプレッドも狭い傾向があります。

では、なぜ安い価格で販売できるかというと、商品取引会社では自社ブランドを持たず、金地金を必要に応じて業者間市場から直接取り寄せているため、製造・加工・保管料等のコストがかかっていないからです。

これに対し、貴金属商は自社で製造したオリジナルブランドの金地金を取り扱っているため、製造や保管のコストがかかり、販売価格が割高になってしまいます。

【3】一般に500g未満の地金には手数料がかかる

ここまで金地金の売買には手数料がかからないという話をしてきましたが、これは1kg、500gバーを売買する場合の話になります。つまり、500g未満の地金の売買には「バーチャージ(加工手数料)」と呼ばれる手数料が別途かかるのが一般的です。

そのため、少量の金地金を売買する際には、その分割高になってしまうのでご注意ください。そのため税金対策と併せて検討することが必要となります。

以上のように、売買コストから考えれば、少量の金地金よりも1kg、500g単位の取引、また貴金属商よりも商品取引会社の方が有利に売買することが可能と言えます。取引する際の参考にしてみてください。

Q&A

6)金地金の売買と税金Q&A

【1】相続でもらった金地金には税金がかかるの?

金地金は資産になるので、相続税(贈与税)がかかります。

【2】相続した金地金を売却した場合の税金は?

相続した人が、もともとの所有者の所有期間を引き継ぐことになります。

相続した金地金を売却した場合、譲渡損益の計算は、もともとの所有者の購入金額と売却金額の差し引きにより算出します。

【3】「金地金等の支払調書制度」とは?

金やプラチナの地金を売却して得た所得を税務署が把握するために「金地金等の支払調書制度」という制度があります。金やプラチナの売却額が200万円を超える場合、買取店側に支払調書の提出が義務付けられています。そのため、売却時に本人確認の書類を求める店がほとんどとなりました。

【4】申告漏れがあるとどうなるの?

金地金の贈与所得による自己申告を怠ると、大きなペナルティがあります。

申告漏れが発覚すると、延滞税、加算税などの追徴課税がかかります。長くなれば長くなるほど多くの追徴課税が発生するので、申告漏れには十分注意してください。






まとめ

・金地金(きんじがね)とは金塊のことで、インゴット、ゴールドバーなどとも呼ばれている。

・金地金を売買した場合には、譲渡所得、雑所得、事業所得の3種類の所得区分に分かれる。

・200万以上の売却額の場合、金地金支払調書制度の提出が必要であり、税金の支払いは確実に発生する。

・精錬分割加工サービスで、売却額が200万円以下にすることで支払調書の提出義務&納税義務は発生しなくなる。さらに売却額が50万未満であれば、安全な方法で無税にすることができる。

・500g以上の金地金の売買では手数料はかからないが、通常、販売価格と買取価格の2種類があり、このスプレッド(販売価格と買取価格との差額)の支払いは必要となる。

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髙村健一

1973年4月26日神奈川県生まれ。髙村税理士事務所代表・株式会社トラストコンサルティング代表取締役。オーナー系企業・個人の富裕層向け税務コンサルティング、アドバイザリー業務を得意分野とする。LEC東京リーガルマインドの講師など、全国で講演活動やセミナーを実施。研修講演等実績:大同生命・ジブラルタ生命・三井住友海上あいおい生命・アクサ生命他。執筆実績:清文社「間違わない事業承継Q&A」(共著)・観光経済新聞社「税肉を落とす」日本金融通信社「ニッキンマネー・節税のノウハウ」他

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1973年4月26日神奈川県生まれ。髙村税理士事務所代表・株式会社トラストコンサルティング代表取締役。オーナー系企業・個人の富裕層向け税務コンサルティング、アドバイザリー業務を得意分野とする。LEC東京リーガルマインドの講師など、全国で講演活動やセミナーを実施。研修講演等実績:大同生命・ジブラルタ生命・三井住友海上あいおい生命・アクサ生命他。執筆実績:清文社「間違わない事業承継Q&A」(共著)・観光経済新聞社「税肉を落とす」日本金融通信社「ニッキンマネー・節税のノウハウ」他