相続税に関する税理士の仕事6つ!注意点とは?

税理士は、企業(個人)の確定申告、税務コンサルティング、節税対策など税金やお金に関する専門家です。一般の方には普段馴染みがない税理士ですが、超高齢社会を向けえている日本においては、遺産相続案件の増加により重要な役割を担っています。今回は、最近注目されてきている税理士の仕事や依頼するメリットについて解説していきます。






1)税理士の業務

税理士が扱う主な業務は、税務コンサルタントとしての税務上のアドバイスから確定申告手続きまでのサポートとなります。この確定申告は税理士の独占業務となり、税理士は企業の「税務対策」全般をサポートするプロと言えます。税理士の「独占業務」として税理士のみに許されている業務をまとめると以下の3つに分けられます。

【1】税務代理

納税者の代わりに税金の申告を行う業務です。税務調査の立会も行います。

【2】税務書類の作成

確定申告書や相続税申告書など、税務署に提出する書類を作成します。

【3】税務相談

税金の算出方法、相続、贈与など、税に関する相談に対応します。

今回のテーマである相続に関しても、税理士の中には、税務の知識と経験を生かし、企業向けだけでなく個人向けの遺産相続業務に積極的に行っている事務所も多くなっています。

そのため企業に限らず、個人の方でも「遺産相続の生前対策を検討したい」、「相続税の軽減対策(節税)を提案して欲しい」など、税理士に節税や相続税の相談をすれば適切なアドバイスやサポートを受けるケースも多くなってきています。

マイホームと計算機

2)相続における税理士の仕事

相続について税理士に依頼する場合、タイミングにより大きく2つに分けられます。それは、生前対策時と相続発生時のタイミングです。

【1】生前対策における業務

生前対策として税理士が請け負うってくれる仕事は、主に、相続税に関するシミュレーションと節税対策の提案の2つに分けられ、以下のとおりとなります。

(1)相続税シミュレーション

① 相続税の算出
② 不動産(土地・建物)の評価
③ 遺産分割方法のアドバイス
④ 遺言書作成のアドバイス

(2)節税対策の提案

①贈与について(贈与契約書作成、贈与税の申告)
② 養子縁組

【2】相続発生後の業務

一般に相続業として、多くの税理士が受けるのが、こちらの相続発生後の業務です。税理士の業とも言える相続税の申告はもちろん、それに至るまでの、財産目録の作成、遺産分割協議書の作成なども業務として行います。

①相続人の調査
② 財産目録の作成
③ 遺産分割協議書の作成
④ 相続税申告

税理士は税務に関する専門家となるため、本来は、書類作成は専門外の業務と見なされます。そのため、これらの業務を単体で専門家に依頼したいときには、弁護士や行政書士などの専門家に依頼することになります。

ただし、書類作成であっても相続税申告に必要な税務の一環として依頼するケースも多く、その場合は遺産分割協議書などの作成を税理士にまとめて依頼するケースが多くあります。

3)税理士に遺産相続を相談

【1】生前対策の相談

最近は、遺産相続においても存命中から準備する生前対策をする人が増えています。これは、ある意味、残された家族が相続争いで揉めたり、相続税の重い負担で苦しまないようにするために親がおこなう最後の仕事となります。

生前対策のタイミングですが、こればかりは“備えあれば憂いなし”ということになりますが、生前贈与など子供や孫への遺産移動を考えた場合には早めに準備して進めておくメリットも多くあり、税理士に相談することで、生前対策として以下の様な手続き、調査、アドバイスをサポートしてくれます。生前対策として以下のものがあります。

①予想される相続税の算出
②土地評価、家屋評価
③生前贈与の相談
④遺産分割のアドバイス
⑤遺言書作成アドバイス
⑥生前からできる節税対策

【2】相続時の相談

非相続人の葬儀が終わると次は相続手続きが待っています。このまま相続人の間で遺産分割の揉め事が起きないようであれば、相続税の算出から確定申告の手続きに入ることになります。

その場合の相続税の確定申告は、税理士の専権事項となります。相続税の軽減(節税)と合わせて相談すれば依頼人にとって有利かつスムーズな遺産相続を進めてくれます。相続時の税理士への相談内容として以下のものがあります。

①節税含めた相続税の申告
②特例を利用した節税対策
③被相続人の財産調査
④相続税の還付
⑤遺産分割協議書作成

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4)資産家の遺産相続で起きるトラブル

遺産相続は、被相続人が所有する資産(財産)により相続対策の規模や手続き項目も当然変わります。特に財産が多い場合には注意が必要で、相続時に様々なトラブルが起きる可能性があります。そのため、資産家である被相続人とその資産を相続する相続人の方は、特に以下の3点に留意して相続対策を検討しておかなくてはなりません。

①争続にならない円満な遺産分割
②申告後に納税する資金の確保
③相続税の軽減(節税)

相続が争続とならないようにするために、入念な遺産相続対策の準備が求められるのです。

5)遺産相続コンサルティング

【1】遺産に特化したコンサルティング

税理士の中には、「揉めない遺産相続」、「賢い遺産相続」という、相続上のリスク回避や税務上のメリットに力点を置いた相続コンサルティングをおこなう税理士事務所があります。税理士として以下の相続コンサルティングをしてくれます。

①不公平にならない円満な遺産分割と税務上のサポート
②財産の組み換えと資産運用
③不動産の有効活用(マンション、駐車場などへ転用)
④所有する株式・投資信託・投資商品の売買対策
⑤事業継承(M&A)など

特に、3番目の「不動産の有効活用」は、相続税の軽減とともに、遺産を積極的に有効活用する方法として税理士事務所は力を入れています。つまり、相続対策としてニーズが高い項目と言えます。また、マンション経営や駐車場経営などは、税理士事務所1社だけでは対応できませんので、不動産事業者、ハウスメーカー、他の士業(土地家屋調査士、弁護士、司法書士)などと連携して案件を積極展開しています。

さらに、最近では事業継承という新たな社会問題も生まれています。これは「子供が親の事業を継承しない」、「事業を受け継ぐ人材がいない」という、人口減少や人材難が原因で起きている“事業相続”の問題です。

そのため、リタイア前の経営者が存命中の間に事業の継承者を探したり、事業売却(M&A)相手を探すという新たなビジネスニーズが生まれており、税理士の中には、この事業相続である事業継承の案件を積極的に手がけている事務所もあります。

【2】遺産が少なくても相続トラブルは起きる

遺産相続のトラブルは何も資産家の間だけで起こることではありません。実は、遺産額が1500万円~2000万円位が遺族の間で一番揉めやすいと言われています。相続できる金額が少ないと、できるだけ自分の取り分を多くしたいと考えるのが人間心理というものなのかもしれません。

そんな遺産相続のトラブルは弁護士の専門分野となります。しかし、遺産分割が話し合いで解決できる場合や、相談内容が「税務上の軽減アドバイス」・「申告手続き」だけであれば、税理士への直接相談が適切な対応方法になります。また、事前に税理士と相談しておくことでトラブルになることなく解決することも多くあり、先ず相談すべきは税理と言えます。

税理士 相談

5)税理士に依頼する必要はあるのか

【1】税理士への依頼が必要性

基本的に、税金の申告は個人でも行えるようになっています。確定申告などをご自身でした経験がある人も多いかと思います。相続税に関しても同じで、財産目録や遺産分割協議書の作成、相続税の申告など、一連の作業は専門家の手を借りずに済ませることも、法律上は可能です。

実際、相続税がかからない、あるいは相続財産が少ない場合は自力で済ませる人が多いです。ただし、相続税は非常に複雑で、素人だけで行うのは危険な場合もあります。

誤った申告を行うと、後から追加で、納めるべき税額の最大40%の重加算税、延滞税が掛かり、多大な出費を強いられることになることがあるからです。では、具体的にどのようなケースで税理士に依頼すべきなのか見ていきます。

【2】相続税がかからない場合

相続税がかからない場合というのは、次の2つのケースがあります。

①基礎控除に収まる場合
②配偶特別控除に収まる場合

(1)基礎控除に収まる場合

相続税の基礎控除は、「3000万円+600万円×法定相続人の人数」となっています。たとえば、法定相続人が3人の場合、「3000万円+600万円×3人=4800万円」の基礎控除が受けられるというわけです。

相続財産が基礎控除の範囲に収まる場合、相続税はかかりませんし、申告も不要になります。

ですから、税理士に依頼する必要もないと言えます。

(2)配偶者特別控除に収まる場合

配偶者特別控除とは、正式には配偶者の税額軽減制度という制度で、配偶者が支払う相続税において「1億6000万円または配偶者の取得した遺産のうち法定相続分相当額のどちらか高い金額」が控除されるというものです。

簡単にいうと、「1億6000万円~法定相続分に当たる金額は控除される」ということになります。ここで気をつけなければならないのが、配偶者特別控除を受けた場合は、たとえ相続税がゼロになったとしても税務署への申告が必要だということです。預貯金のみの相続なら申告は簡単ですが、不動産などがある場合は一気に複雑になりますから、税理士に依頼することをおススメします。

【3】相続税がかかる場合

基礎控除を超えた相続財産がある場合は、相続税が発生します。もし、相続財産が預貯金や上場株式など、明らかに価額のわかるものだけだった場合は、税理士に依頼しなくても正しい申告ができる可能性があります。

しかし、こうしたケースでも、財産の見落としや生前贈与分を計算に入れ忘れていたといったことが起こり得るため、実は簡単ではありません。

申告に漏れや誤りがあると、税務調査が行われることがあります。調査員が被相続人や相続人の自宅を訪れ、相続財産や被相続人について詳しく調査するのです。

相続税に関する税務調査を受けた人の8割以上は非違(ヒイ)つまり法律違反と見なされています。非違とされると、追徴税(加算税や延滞税)が課せられることがあります。そうならないためにも、相続税がかかる場合は税理士に依頼することをおススメします。

【4】その他の注意

相続税がかからない場合でも、不動産や非上場株式など、評価が複雑な財産がある場合は税理士に依頼することをおすすめします。こうした財産の評価は非常に面倒で、人によって価額が大きく変わることもあります。自分で計算したときは基礎控除内に収まったと思っていても、実はオーバーしていて申告が必要だったということさえありえるのです。

また、市区町村の役所などの公共機関では、確定申告の時期になると相続税に関する無料相談窓口を設けていたり、無料で相談できるイベントを開催したりしているところがありますので、活用すると便利です。

ただし、時間も機会も限られており、細かい相談は難しいこともあります。無料相談で解決できない問題がある場合は、やはり担当の税理士に依頼するほうが申告漏れなどもないため確実に進めたい場合は依頼することをおススメします。

ビジネスグループ

6)税理士を選ぶ時の5つのポイント

ここまで税理士の仕事や依頼するメリットについて見てきましたが、実際に依頼する際、どのような税理士を選べばよいのか説明します。その際に確認すべきポイントとして5つあります。

【1】ポイント1:相続業務の経験が豊富

まず、相続業務の経験が豊富な税理士を選んでください。具体的には「相続税の申告件数が、毎年10件以上」担当しているかどうかです。前提の知識として、相続税の申告をするだけなら税理士なら誰でも可能ですが、例えば、相続後のことまで考えて、遺産分割の内容を設計したり、税務申告で注意する点を事前にお伝えしたり、次の世代のことまで考えた資産に関する提案ができたり場合は、話が別になります。

このような、いわゆるコンサル的な業務までできる税理士は非常に少ないのです。相続税申告を専門にしている場合でも、ただ単に申告だけができるケースも少なくはありません。もちろん、相談に乗ってもらえるのか、提案ができたりするのか、そこをしっかりと見分けるとよいです。

【2】ポイント2:書面添付制度を受けられる

書面添付制度とは、相続税の申告の際、申告書を作った税理士が書面を添付して提出する制度です。その書面には、申告書を作るときにどんなことを調査したのかといったことが記されています。これがあれば、申告書について疑問が発生した場合、まず、申告書を作った税理士だけが税務署に呼び出されます。

そこで調査官の疑問を解決することができれば、税務調査は省略されます。反対に、この書面がなく申告書に疑問が生じた場合、直接、相続人(納税者)に対して税務調査が行われます。書面添付制度を利用しない場合、税務調査を受ける確率は25%、利用した場合は6%まで下がるといいますから、ぜひ利用できるか相談してみてください。

【3】ポイント3:税務調査に立会い

相続税の申告書に誤りや漏れがあると思われる場合、税務署から税務調査が入る可能性があります。その立ち会いをしてくれるかどうかも、税理士を選ぶ上でのポイントです。税務調査は、被相続人、もしくは相続人の自宅で行われます。調査官が自宅に入り、被相続人のあらゆる財産を調べていくのですから、それだけでも緊張する時間です。さらに、被相続人の財産に関して専門的な質問をされることもあります。

「うちは財産が少ないから関係ない」と考える人も多いようですが、税務調査は財産の多い少ないに関係なく行われます。いざというときに対応に困らないためにも、税務調査に立ち会ってくれる税理士かどか確認するとよいです。

【4】ポイント4:税務領域以外の分野についても詳しい人

相続では、相続税以外にも、遺言書や争族、不動産や保険など、さまざまな問題が起こり得ます。専門知識を要する問題について素人だけで対応するのは困難ですし、かといって複数の専門家に依頼するのは費用もかかります。ですから、できるだけ幅広い分野に対応できる税理士を選ぶとよいです。

税理士は税務の専門家ですから、それ以外の問題については畑違いではあります。しかし、相続税について多く扱っている人はある程度知識をもっているケースが多いようです。また、弁護士や司法書士、行政書士といった専門家とネットワークを構築し、あらゆる問題についてワンストップで対応できる体制を整えている事務所もありますので、どのようなケースを多く担当しているのか尋ねてみるのもよいかもしれません。

【5】ポイント5:営業目線ではなく、顧客第一の考えを持っている税理士

税理士を選ぶ上で最も重要なのが、顧客のことを一番に考えてくれるかどうかです。相続のかたちは人それぞれで、やるべき作業も異なります。同じ被相続人からの相続でも、控除申請が必要な人もいれば、相続税の申告自体が不要な人もいるでしょう。

こうした一人ひとりの状況に合わせて、やらなくていいことはやらなくていいとはっきり答えてくれる税理士を選ぶことをおススメします。

相続税申告に不慣れな税理士などに依頼すると、マニュアル通りに全ての作業を進められたり、削減できる作業を削減してもらえなかったりして余計な費用がかかってしまうこともあります。また、相続はお金に関することや親族の関係など、デリケートな問題も絡む問題です。そうした意味でも、本当に信頼して任せられる税理士を選ぶことが非常に重要なのです。






まとめ

・税理士は税務に関する確定申告を専門としているが、税務に関するコンサルティング業務も担ってくれる場合もあり、相続に不安を感じている場合は、早い時期から相談しておくとよい。

・税理士に相談するタイミングとして、生前と相続時とがあるが、税金対策や、遺産分割などのトラブルを回避するには、相続前より準備するとよい。

・相続税がかかる場合は当然であるが、かからない場合や相続額が少ない場合でも相続トラブルや遺産相続者間トラブルは多く潜んでいる為、金額の多寡に関わらず税理士に相談しておくとよい。

・相続業務については複雑なものが多く、税理士含めた専門家への依頼を検討する人は多いですが、コンサルティングとして提案までしてくれる税理士は少ないので、自分でもある程度は調べ、内容を理解した上で依頼するとよい。

・税理士には経験や専門分野は様々にあるため、どの事務所に相談するとよいのか、「税理士を選ぶ時の5つのポイント」を確認するとよい。

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髙村健一

1973年4月26日神奈川県生まれ。髙村税理士事務所代表・株式会社トラストコンサルティング代表取締役。オーナー系企業・個人の富裕層向け税務コンサルティング、アドバイザリー業務を得意分野とする。LEC東京リーガルマインドの講師など、全国で講演活動やセミナーを実施。研修講演等実績:大同生命・ジブラルタ生命・三井住友海上あいおい生命・アクサ生命他。執筆実績:清文社「間違わない事業承継Q&A」(共著)・観光経済新聞社「税肉を落とす」日本金融通信社「ニッキンマネー・節税のノウハウ」他

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1973年4月26日神奈川県生まれ。髙村税理士事務所代表・株式会社トラストコンサルティング代表取締役。オーナー系企業・個人の富裕層向け税務コンサルティング、アドバイザリー業務を得意分野とする。LEC東京リーガルマインドの講師など、全国で講演活動やセミナーを実施。研修講演等実績:大同生命・ジブラルタ生命・三井住友海上あいおい生命・アクサ生命他。執筆実績:清文社「間違わない事業承継Q&A」(共著)・観光経済新聞社「税肉を落とす」日本金融通信社「ニッキンマネー・節税のノウハウ」他