税理士に丸っと代行してもらった場合の料金相場やメリットまとめ

税理士費用は税理士に仕事を依頼した際に支払う料金のことで、税理士報酬や顧問料などがこの費用に含まれます。しかし明確な報酬基準が存在していないので、適性価格をどのようにして判断するのかよく分からない方も多いかと思います。

特に丸っと税理士に依頼する場合は、料金面は曖昧になりがちになりますので、今回は税理士選びで失敗しないために依頼内容や料金相場、メリットについて解説します。






1)税理士はどんなことしてくれるのか

【1】税理士に依頼できること

税理士の仕事は、税金に関して税務代理、税務書類の作成、税務相談を行うことが一般的となります。その中の税務代理は、納税者に代わって税務申告等の法律行為をする代理だけではなく、税務調査当局との間で行う事実認定なども含まれます。

「自分で記帳もできるし、決算書も作れるから自分でやろう」と考える人もいるかと思いますが、会計ソフトはあなたの代わりに税務判断はしてくれません。しかも税務調査はどの事業所にも突然やってきますので、税理士に依頼している時はとても頼りになります。

税理士の報酬は、一般的に税務に付随する研修・精密な調査・学習に要する時間が含まれて報酬額の相場が考慮されていますので割高に設定されています。

しかも経営コンサルタント資格のある税理士も増え、融資相談、補助金・助成金の申請・アドバイス、資金繰り相談、従業員雇用の相談、経営計画支援、事業計画支援など多岐に渡るため、費用については依頼内容、事務所によって大きく異なります。

そのため契約前に、税理士がどんなことをしてくれるのか、どんな仕事をお願いしたいのか整理して相談してみる必要があります。費用面で問題がなければ丸っと代行してもらうこともできますので、税務関係に費やす時間が省略できますので本来の業務に集中できるようになります。

【2】適正な税理士報酬を見極める5つのポイント

ポイント1:税理士にどのような仕事を望むのか

税理士に対して「領収書整理と取引の記帳を全部丸投げしたい」といった要望や、「取引の記帳は自分でするから、とにかく安くしたい」などの要望があると思います。

まずは自分が税理士に対してどのような仕事を望んでいるのか、あらかじめ整理して書き出してみてください。

ポイント2:税理士がどのようなサービスを提案してくれるか

自分にあった税理士というのは、本当に必要なサービスを提案し、提供してくれる税理士です。勧められた商品が仮に予算を少々オーバーしていても、希望のニーズを満たしてくれるものであれば満足度は高くなります。

それは税理士報酬も同じで、費用を安く抑えたいのは分かりますが、1番大切なのは、安さよりもご自分に1番必要なサービスを提案、提供してくれる税理士を見つけることです。

ポイント3:契約の中にはどのような仕事・サービスが含まれるのか

税理士との契約内にどのような仕事、サービスが含まれるのか必ず確認してください。税理士にお願いできる仕事内容はたくさんあります。契約内でどこまでの業務を行ってくれるのかは、契約内容によって大きく異なってきます。

例えば、月々の顧問契約料が安い場合、訪問回数、電話対応が少ない場合もあります。別途仕事をお願いすれば、別途オプション料金として追加料金を請求されることもありえます。自分の顧問契約の中にはどのような仕事、サービスが含まれるのかしっかり確認してみてください。

ポイント4:報酬に不明瞭な点はないか

税理士報酬に不満、不明瞭な点がないか事前に確認する必要があります。例えば、税理士報酬が月額5万円で提示された場合、その金額を高いと感じるか、適正と感じるかは見解によって全く違います。売上高が5000万あって、毎月訪問、個別電話対応、従業員100名分の年末調整をお願いしている場合であれば適正価格よりもメリットを感じるのではないでしょうか。

ただ税理士に言われるがままに税理士報酬を支払っている状況では不満がたまる一方で、関係としては健全とは言えません。そうならないためにも、契約前報酬額とそれに対する業務内容が適正であるか確認する必要があります。

ポイント5:詳細の契約書の取り交わしを行ってくれるかどうか

税理士の中には、顧問料や業務内容に関する契約書の取り交わしをせず、口約束だけで済ますこともあるようです。お互いに無用なトラブルを起こさないためにも、契約書の取り交わしはしっかり行うことをおススメします。

ビッジネスマンと自然

2)税理士に丸っと依頼した時のメリット

メリット1:正確に確定申告してくれるので安心

確定申告では帳簿作成が義務付けられており、特に複式簿記の場合は、簿記の知識がない方だと帳簿を作るのが難しいと思います。

ですので、自分で確定申告を行うと、時間もかかりますし間違う恐れも出てきます。その点、確定申告を税理士に任せてしまえば、正確な書類を作成してくれて、キチンと期限内に確定申告を済ませてくれるので安心です。

メリット2:見落とすことなく税金対策をしてくれる

税理士はプロですから、最新の税務情報も知っていますし節税になることを見落とすことなく確定申告書を作成してくれます。

自分でも節税について調べるとは思いますが、漏れなく節税になるように、確定申告書を作成することはなかなか難しいと言えます。

メリット3:事業に専念できる

初めにも触れましたが、確定申告を税理士に依頼することで、本業に専念することができます。経理の知識がない方や事務作業が苦手な方にとっては、確定申告はとても大変な作業かと思います。確定申告に時間を取られて本業に専念できなくては本末転倒ですので、そのときは税理士に依頼してしまうことをおススメします。

メリット4:総合的なアドバイスがもらえる

税理士に部分的に依頼していると、税理士はその分野のみを仕事に特化してしまいますが、丸っと依頼することで、会社全体の資金の動きを把握することができます。また、確定申告間際というのではなく、毎月の動きをリアルタイムに把握することができるため、コンサルティング面で具体的なアドバイスをもらえる可能性が高くなります。

もちろん、税務の正確性が上がることは当然ですが、それ以外にも税理士としても任せてもらえている意識が芽生え、さらに顧客にメリットを感じてもらえるため、料金やアドバイス面など質、頻度ともメリットが大きくなる傾向があります。丸っと依頼するで税務に関わる業務時間を本業にシフトできる利益が大きいのであれば、おススメします。

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3)税理士費用について

【1】税理士費用の基本

基本的に、税理士の費用=人件費と考えて問題ありません。

税理士一人で業務を行っている事務所、税理士のほかにアシスタントを多数雇っている事務所、複数の税理士が所属する税理士法人など、規模や業態はさまざまですが、いずれも発注者側が支払うのは、会計業務や決算処理にかかる費用。人件費という点では同じです。

ただ、人件費の単価は税理士それぞれの知識やスキルによって大きく変わってきます。領収書の整理や記帳(会計ソフトへのデータ入力)だけを担当する税理士の人件費は比較的安い一方、豊富な経験を持ち、実践的な絶税ノウハウをアドバイスできる税理士や、クライアントの経営戦略まで踏み込んだコンサルティングができる税理士の人件費は当然高くなります。

【2】税理士報酬の相場

平成14年以前の税理士報酬は、年間の取引高によって、法人税ですと2000万円未満なら2万円、1億なら7万円超などと、税理士法によって決められていました。この名残で税理士報酬を設定したままのところも数多くあります。

しかし、平成14年の税理士報酬規定の撤廃により、今は税理士報酬の額は自由化され、実施は基準がないのが現状です。税理士の報酬規程が撤廃された現在、税理士費用に目安となる基準は存在していないため、税理士費用の相場というのを理解するのは非常に難しくなっています。というのも、会計事務所や税理士事務所はそれぞれ料金体系が全く異なる場合が多く、セット料金をウリにしている事務所もあれば、作業ごとに細かく報酬を規定している事務所もあるからです。

ただし、平成14年の税理士報酬規定は撤廃されていてもそのまま採用している事務所も多く、目安にはなります。また、相場とまではいかなくても、インターネットなどで料金を掲載している事務所は多いので、それらの情報を総合するとある程度の料金の目安を知ることはできます。

【3】主な業務と業務別費用について

では、実際に税理士と契約を交わすといったいどれくらいの費用がかかるのでしょうか?続けて税理士の主な業務と、業務別の費用相場をご紹介します。

(1)税理士顧問料|月1~3万円

年間を通して、顧問契約を結んだ際の月額料金です。

(2)記帳代行料|月1~3万円

記帳代行は、日々の領収証や請求書をもとに経費や支出のデータを会計ソフトへ入力する業務となります。のちのちの決算や税金の申告のベースとなる部分です。こちらも月額です。

(3)確定申告代行|5~10万円

確定申告を依頼する場合の費用です。

(4)消費税申告代行|2~5万円

消費税申告を行う場合の代行業務です。年商1,000万円以上から申告の義務が生じます。

(5)その他

その他、年末調整や資料作成など税理士の業務は多岐にわたりますので、状況に応じて費用がかかります。顧問税理士料金に含まれている場合もあります。

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4)会社の規模別の税理士費用相場

【1】年商による費用相場

年間の売り上げ高が1,000万円未満の中小企業ならおおむね月額2万円~、年商5,000万円~1億円未満なら月額4万円~、年商1億円を超える企業は、月額6万円~、年商5億円を超える中堅・大手企業の場合は月額8万円~が相場となります。

売り上げの規模にかかわらず、税理士と顧問契約を結び、月次決算と年1回の本決算処理を委託しつつ、税務に関するアドバイスやコンサルティングを受けるという基本的な流れは変わりません。

ただ、税理士事務所によっては相談(税金の申告に必要な書類に関する質問など)だけなら無料というところもあり、税務調査対応や経営コンサルティングなど特定の業務に強みを持つ税理士もいるので、自社の状況にあわせて契約先を検討することをおススメします。

【2】コンサルティングを依頼する場合

税理士を探している方のなかには、「会計帳簿の作成や税務相談だけでなく、経営コンサルティングも依頼したい」という方もいるのではないでしょうか。

コンサルティングを主眼に置くなら、税理士のほか社会保険労務士や行政書士が在籍する会計企業グループを中心に検討するのがおススメします。

会社が成長して事業規模が大きくなるほど、健全な経営を保つためには、財務や人事制度の整備といったより多角的な取り組みが必要になるからです。料金としては、記帳代行や決算処理のほか、金融機関からの資金調達を目的としたコンサルティングサービスを含めて初期費用10万円+調達資金の2%~3%で提供する場合が多くあります。

【3】なぜ価格が違う?価格差の出る理由

平成14年以前の税理士報酬は、税理士法によって法人税は2,000万円未満なら2万円、1億円なら7万円超などと決められていたので、昔からの税理士の場合はこの名残で報酬を設定したままの事務所も数多くあります。

しかし、現在は税理士報酬規定の撤廃がなされているので、報酬額は自由化されて明確な基準がありません。そのため、実態としては月額顧問料は3万円以下、決算料は5万円~20万円程度と考えておくのが良いです。

平成26年4月に日本税理士連合会が行った調査によると、法人の場合に最も多かった月額顧問料は「1万円を超えて3万円以下」、決算料は「10万円を超えて20万円以下」で、個人の場合に最も多かった月額顧問料は「1万円を超えて3万円以下」、決算料は「5万円以下」となっています。

ただ、2015年3月に公表された「第6回日本税理士連合会の実態調査報告」の結果を見ると、報酬規程を設けている税理士は全体のわずか32.3%となっています。つまり、6割以上の税理士が個人の裁量やケースバイケースで料金を決めているのが実態で、これが税理士の費用にばらつきが生まれている大きな理由の一つです。

また、先述したように近年では記帳代行や決算処理に加えて、具体的な節税アドバイスや節税コンサルティングを求める企業が増えてきましたので、記帳代行などのアウトソーシングだけを請け負う税理士と、より実践的なノウハウや知識を持ちコンサルティングも行える税理士とでは、料金の開きが大きくなりつつある傾向があります。

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5)依頼前に知っておいてほしい税理士報酬の考え方

【1】税理士報酬の算出方法の基本

基本的に、税理士報酬とは、固定額・従量額・難易度により価格が決められていることが一般的です。すなわち、「売上高と作業量による報酬基準」と「取引量・難易度加算」といった観点から報酬が決定されることになります。ここでは、税理士報酬の考え方についてご紹介します。税理士報酬とは、以下のような考え方が一般的です。

・売上高・訪問頻度による報酬基準

・取引量・作業量による報酬基準

・難易度・希望作業オプションによる報酬基準

・年間で定められた業務による報酬

【2】売上高・訪問頻度による報酬基準

1番の基準になるのは、売上高と訪問回数による報酬基準です。売上高と訪問回数をもとに、報酬金額を固定しておく契約形態です。例えば、年間売上高3000万円、訪問年間12回であれば月額3万円、年間の顧問料は36万円などといったかたちです。

ただし、あくまで基準となる税理士報酬であり、全ての業種や業界に当てはまるわけではありません。同じ売上3000万円であっても、全く仕入れのない取引の簡単なデザイン業と、複雑な海外取引のある小売業、現金決済の多い店舗、飲食業など様々にケースが違います。この場合は仕事内容による業務量を加味して税理士報酬が決められます。

売上高による報酬基準と作業量による報酬基準のどちらを重視する税理士にしても、必要のない作業を削ってもらうことで税理士費用を削減することができます。ここでは参考までに、税理士が行う業務内容とその報酬相場をまとめてみました。

【月々など定期的に行う業務】

・訪問:1訪問5,000~10,000円

・記帳代行:月1~3万円

・給与計算:従業員1名あたり1,000円/月

【3】取引量・作業量による報酬基準

作業量に応じて報酬金額が変動する基準です。例えば従業員の人数によって作業量が異なる年末調整業務などについては、従業員10名以上は1人につき2000円プラスなどといった具合になります。

また記帳代行(会計ソフトの入力)なども、100仕訳が〇〇円といったかたちで作業量に応じて月額顧問料とは別に発生する事もあります。こちらは分かりやすい基準ではあるのですが、追加の依頼をすると追加料金もかかってきますので注意してください。

【4】難易度・希望作業オプションによる報酬基準

難易度・希望作業オプションによる報酬基準とは、特別な状況において基本報酬に加えて別途加算される報酬のことです。例えば、決算期限間近で処理日数を確保できない場合や、特別な業種(医業・不動産・海外取引業務等)の場合に、特別な調査を必要としたり、外部専門家の協力を要する場合などがこれに当たります。

こうした場合は、お客様の了解を得た上で難易度による加算報酬が設けられる場合があります。また、税務調査の立会報酬は別途オプション料金になったり、社労士業務(給与計算や社員の入退社届出など)についても、月額顧問料には含まれず、作業量による報酬基準となる場合が多いです。






まとめ

・契約前に、税理士がどんなことをしてくれるのか、どんな仕事をお願いしたいのか整理して相談する必要である。

・適正な税理士報酬を見極めるポイントは5つあり、特に税理士がどのようなサービスを提案してくれるか、契約の中にはどのような仕事・サービスが含まれるのかなど、報酬内容が不明瞭でないかしっかりチェックする必要がある。

・平成14年以前の税理士報酬は、税理士法によって以前定められていて、その名残は今でも多くの事務所であるため目安になる。

・「取引量・作業量」「売上高・訪問頻度」、他にも難易度や年間契約などの報酬基準があるので、依頼内容とメリットを照らし合わせて判断するよい。特に丸っと依頼する場合は、料金が曖昧になりがちなのでしっかり確認する必要がある。

・税理士に丸っと依頼するかどうかは、業務時間を本業にシフトできる利益だけでなく、コンサルティング面、節税対策など総合的なメリットを考慮して検討する必要がある。

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髙村健一

1973年4月26日神奈川県生まれ。髙村税理士事務所代表・株式会社トラストコンサルティング代表取締役。オーナー系企業・個人の富裕層向け税務コンサルティング、アドバイザリー業務を得意分野とする。LEC東京リーガルマインドの講師など、全国で講演活動やセミナーを実施。研修講演等実績:大同生命・ジブラルタ生命・三井住友海上あいおい生命・アクサ生命他。執筆実績:清文社「間違わない事業承継Q&A」(共著)・観光経済新聞社「税肉を落とす」日本金融通信社「ニッキンマネー・節税のノウハウ」他

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1973年4月26日神奈川県生まれ。髙村税理士事務所代表・株式会社トラストコンサルティング代表取締役。オーナー系企業・個人の富裕層向け税務コンサルティング、アドバイザリー業務を得意分野とする。LEC東京リーガルマインドの講師など、全国で講演活動やセミナーを実施。研修講演等実績:大同生命・ジブラルタ生命・三井住友海上あいおい生命・アクサ生命他。執筆実績:清文社「間違わない事業承継Q&A」(共著)・観光経済新聞社「税肉を落とす」日本金融通信社「ニッキンマネー・節税のノウハウ」他