税理士が伝える税理士を変更する場合の6つの注意点

報酬と仕事内容が見合っていない、日々の対応、年齢的なギャップ、会社の規模が大きくなり税理士に求めるものが変化したなど、税理士の交代を希望する理由は様々です。ここでは税理士を変更する際に注意すべき事項についてご紹介いたします。






1)税理士変更の大まかな流れとは?

【1】ステップ1:契約の確認をしよう

税理士を変更するにあたり、今まで契約をしていた税理士との契約解除をする必要があります。トラブルを起こさずに円滑に契約を解除するためにも契約の確認を行いましょう。

【2】ステップ2:返却書類の確認をしよう

税理士に記帳代行を依頼している場合、レシート、領収書などの帳簿書類一式が税理士の手元にあるはずです。通常の場合契約解除をされた税理士は速やかに書類の返却を行いますが、まれに書類等の返却もれがある場合があります。そうならないために事前に確認を怠らないようにしましょう。

<申告所得税関係>

・個人事業の申告所得税
・所得税の青色申告承認申請書
・青色事業専従給与に関する届出書

<源泉所得税関係>

・給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
・納期の特例適用者に係る納期限の特例に関する届出書

「法人税」

・法人税の確定申告書
・法人設立届出書
・申告期限延長の申請書
・青色申告の承認申請書

<消費税>

・消費税の確定申告書
・消費税課税事業者選択届出書
・消費税簡易課税制度選択届出書

ざっと挙げただけでもこれだけの書類の確認が必要になります。税理士も何を預けられているのか忘れてしまうこともあるので、日ごろからどういった書類をいつ税理士に預けたのか整理・記録しておきましょう。

【3】ステップ3:引継ぎの準備をしよう

案外、知られていないのですが、税理士同士で業務の引継ぎを行うことは通常ありません。そのため、税務に関する書類等は会社、社長が一時的に預かるということになります。上記のような必要書類がしっかり返却されたか確認し、後任の税理士が決まりましたら過去の申告書類を速やかに渡して不足や不備等がないか確認してもらいましょう。

【4】ステップ4:いつから準備を始めるの?スケジュールの調整をしよう

顧問税理士変更のベストタイミングは決算が終わり、申告書類を提出した後になります。先ほど紹介した資料や過去のデータなどの回収は半年から一年間かかると言われています。地道に回収プロジェクトを進めていきましょう。

注意 ビジネスマン

2)税理士を変更するときに6つの注意点

【1】次の税理士の候補を探しておく

現在の顧問税理士と解約することばかりに目が向いてしまい、いざ変更しようとなった時に次の税理士を準備できていないことがあります。税理士がついていない期間をなるべくつくらないように次の税理士候補を見つけておきましょう。

【2】現在の税理士との契約を確認する

おおまかな流れでも紹介しましたが、契約書の確認をしましょう。解約について契約書に記載されていることがあり、原則的に従う必要があります。数か月前に解約について申し出ることなどが条件にあることがあります。トラブルが起きてからでは遅いのできちんと確認しましょう。

【3】税理士変更の理由・次の税理士に求めることを明確にしておく

税理士を変更するということは冒頭でも述べた通り、様々な理由があり、現在の税理士では不十分・不適格と判断しているわけです。不十分・不適格と判断したポイントを次の税理士がクリアしているか確認しないと、また税理士の変更をしなくてはいけなくなります。

(1)税理士の一営業日以内に返信が来ないからレスポンスの早い税理士がいい

(2)事業が大きくなり税理士に税務処理だけでなく、経営上のアドバイスを求めているなど

解約理由は解約時の説明や新しい税理士を探すときの基準にもなるためできる限り明確にしておきましょう。

【4】解約を伝えたら引き留めようとしてくる

現在の顧問税理士に「解約したい」旨を伝えると、「何がいけなかったのでしょうか?」「現在の報酬より下げるので・・」など解約をされないように、どうしても関係を継続する交渉をされる場合もあります。

また、「報酬を下げるので」などと言う場合は、他の会社ではもっと低い報酬で仕事をしている場合もあります。ここで引き留められてしまうと結局、同じことの繰り返しになるため、税理士先生との確認が必要になります。

【5】嫌がらせ対策

税理士は機械ではなく人間です。ほとんどの税理士の方は嫌がらせなどしませんが、人によっては顧問税理士の解約となると気分を害し、嫌がらせをしてくる方もいらっしゃいます。税理士の嫌がらせと言っても「言った言わない」でごねる程度です。もし、人間性に不安がある税理士の場合はしっかりと解約時の会話を録音しましょう。

【6】税理士は頻繁に変えない

税理士変更は注意すべきポイントを抑えておけば簡単に行うことができます。それゆえに頻繁に税理士を変更する方がいらっしゃいます。特に値段だけで決めてしまう方は理想の税理士と違ったと変更をする方が多いです。

変更するには新しい税理士に事業の説明や資料の引継ぎをする手間や時間がかかります。自社のことをよく理解してくれる税理士作るためにも長く付き合える税理士を探しましょう。

3)顧問税理士の解約時は具体的にどうするの?

【1】定番の断り文句がある?

定番の変更理由は「親戚の子が税理士になった」です。これは顧問税理士を変更する際の定番として語り継がれているものです。これを言われたら税理士側も察します。そして、何より反論し辛い断り文句ですので、はっきりとした理由が面と向かって言えない時につきましょう。得意先の社長の息子が税理士になった、妻の甥っ子が税理士になったなどと簡単にアレンジできるのでぜひ使ってみてください。

【2】契約解除の対応はメールで行おう

電話での契約解除はそれこそ「言った言わない」でもめやすいです。電話で話した場合はその後、「電話で話した内容をまとめました。確認のため内容に間違いがなければ返信をください」と内容確認を行いましょう。そして、文面をWordやメモ帳などで保管する方もいらっしゃいますが、メールはメールのまま保管しておくことをおすすめします。Wordなどに保存したものは解約時のトラブルの際に証拠能力のないものとみなされる可能性があるので、メールはそのまま保存しておきましょう。

q&a

4)税理士の変更についてのQ&A

【Q1】税理士を変更すると本当に税務調査が入るのですか?

税理士を変更すると税務調査が来る、または解約した税理士が税務署にタレこみをしているのではないかという懸念を持っている方が多いです。タレこみをするということはありませんが、会計処理の方法が変わることが原因で税務調査が入ることがあります。以前の税理士の決算書の内容が間違っていて修正が必要なケースや今までの内訳と大幅に変更する必要があるケースでは税務調査が入りやすくなる可能性があります。

【Q2】税理士報酬の相場はどのくらいですか?

個人事業主の白色申告では5~10万円程度、青色申告なら2倍の10~20万円程度が目安になります。ただし、青色申告を税理士に依頼するときは「売上規模」「記帳代行の有無」がポイントになります。当然、記帳代行を頼み、売上規模が大きくなるにつれ必要な報酬も増えます。また、業種などによっても相場は変わるため、複数人の税理士に相談したほうがいいでしょう。

【Q3】税理士とトラブルが発生してしまったがどこに相談をすればいいですか?

税理士と仕事をする中で、お互いにコミュニケーションが十分にとれなくて、当初の予定通りに物事が運ばずにトラブルになったり、相場とは比べ物にならない料金を請求されたり、仕事がきちんと正確に出来ていないにもかかわらず対応してくれないといったトラブルに巻き込まれるケースがあります。

こういった場合は、まず、顧問税理士が所属する税理士会にトラブルの内容を相談しましょう。税理士会には「紛議調停委員会」という機関があり、税理士業務が原因で発生した納税者とのトラブルを裁判によらずに当事者同士の話し合いによる解決を目指します。訴訟よりも迅速・円滑にトラブルの解決が図りやすいため、トラブルが起きた場合は相談してみましょう。






この記事のチェックポイント

【1】税理士変更の際は契約と書類の確認と引継ぎの準備をしましょう

【2】解約手続きの前にトラブルにならないように6つの注意点を確認しましょう

【3】解約するときの定番フレーズは「親戚の子が税理士になったから」です

【4】解約時のやり取りは録音、保存しておきましょう

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髙村健一

1973年4月26日神奈川県生まれ。髙村税理士事務所代表・株式会社トラストコンサルティング代表取締役。オーナー系企業・個人の富裕層向け税務コンサルティング、アドバイザリー業務を得意分野とする。LEC東京リーガルマインドの講師など、全国で講演活動やセミナーを実施。研修講演等実績:大同生命・ジブラルタ生命・三井住友海上あいおい生命・アクサ生命他。執筆実績:清文社「間違わない事業承継Q&A」(共著)・観光経済新聞社「税肉を落とす」日本金融通信社「ニッキンマネー・節税のノウハウ」他

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1973年4月26日神奈川県生まれ。髙村税理士事務所代表・株式会社トラストコンサルティング代表取締役。オーナー系企業・個人の富裕層向け税務コンサルティング、アドバイザリー業務を得意分野とする。LEC東京リーガルマインドの講師など、全国で講演活動やセミナーを実施。研修講演等実績:大同生命・ジブラルタ生命・三井住友海上あいおい生命・アクサ生命他。執筆実績:清文社「間違わない事業承継Q&A」(共著)・観光経済新聞社「税肉を落とす」日本金融通信社「ニッキンマネー・節税のノウハウ」他