税理士と会計士の4つの違い!依頼時の注意点とは?

税理士と会計士には、共通点は多くありますが、その資格でしかできない独占業務や得意とする分野が異なります。さらに資格は同じでも、経験により得意としているノウハウも異なってきます。今回はそれらの違いとともに依頼時の注意すべき点について分かりやすく説明していきます。






1)税理士と会計士の主な業務内容

公認会計士と税理士はどちらもお金に関わるイメージは誰しも持っていると思いますが、業務内容には大きな違いがあります。公認会計士は、「監査」および「会計」の専門家で、独立した立場から企業などが作成した決算書などの財務書類等を監査することを主たる業務としています。

そのため公認会計士の強みは監査業務で、収支など経営に関する相談業務を得意とします。一方、税理士は名称の通り税務の専門家です。納税者から依頼を受け、申告の代理、書類作成、税金に関する税務相談の業務を行います。それ以外にも税務業務に付随する会計業務を行うこともできますが、税金に関する業を得意とします。

2)税理士とはどんな職種?

【1】税理士の役割

税理士は「税務」の専門家で、独立した立場から納税義務の適正を図ることを業務としています。法人税・所得税・相続税等は、徴収する国が計算するのではなく、申告納税方式と言って自ら計算して納税する必要があるため、時間と労力が必要でとても大変な作業となります。そこで、税金の専門家である税理士に税務の代理をできるようにすることで、業務の効率化と納税申告の適正さを担保しているのです。

【2】税務代理

税理士の主な業務の一つである「税務代理」とは、納税者である会社や個人に変わって、税務署に確定申告等を行うことです。税務代理の中には税務調査の立ち合いがあり、税務調査では故意でなくても見解の相違から申告内容が認められず、延滞税等が加算される場合があります。

そこで税理士に税務調査に立会ってもらうことで、説明における不具合がなくなり、税務調査で否認されることを大幅に減らすことができます。税理士業務の中でもこの税務調査の立会いは、顧客の権利を守る行為として最も重要な業務だと考えられています。

【3】税務書類の作成

税務署に提出する書類には、確定申告書、相続税申告書、青色申告書などがあり、税理士の独占業務として作成を依頼することができます。もちろん自分で作成することもできますが、複雑な税法を理解する必要がある上に、時間と労力を要するため、一般的には税理士に依頼する場合が多いです。

しかし伝票整理、総勘定元帳の作成、給与計算など経理代行業務は独占業務には当たらないので税理士以外の誰でも知識があれば作成することができます。

【4】税務相談

税務相談とは、税務署に提出する申告書、陳述書等、租税に関する相談に応ずることで、最近ではインターネットを使ってプラットフォーム上のオンラインで対応する事務所も増えています。税務に関する相談は独占業務となりますが、経営の相談、融資、増資などのファイナンスの相談は、FPなど知識を有していれば誰が行っても構いません。

会計士の仕事風景

3)公認会計士とは?

【1】公認会計士

公認会計士は、医師や弁護士とともに、三大国家資格と言われ、「会計」及び「監査」の専門家として、経済活動の基盤を支える幅広い役割を果たしています。独占業務である「監査」は、企業等が作成する損益計算書や貸借対照表などが、その企業の財政や経営状況において適正かどうか、第三者的の立場で証明するもので、企業等にとって最も大切な「社会的信用」を支える役割を持っています。

【2】経理業務の代行

経理業務をやっている個人事業主の場合、本業が忙しくなると、領収書の整理や集計などの経理業務までは手が回らなくなります。逆に、本業の時間を割いてまで経理業務に時間を割くことは、仕事の優先順位としても本末転倒と言えます。そこで、経理業務の代行として経理や確定申告などの業務を会計事務所に外部委託することで、本業に集中することができるようになります。

既に会計事務所のサービスの一つとして、毎月の経理業務の外部委託(アウトソーシング)が一般的になっています。経理業務というのは、直接利益を生み出さない、比較的単純作業が多い業務であるため、会計事務所に任せてしまうのも合理的な選択と考えられています。また、経理担当の従業員を雇うよりも低コストとなるメリットがあります。担当従業員を1人雇えば、最低でも1月当たり15万円程度の人件費がかかります。

その点、税理士の顧問報酬は、せいぜい月額数万円程度となり、依頼することで経費を抑えることができるのです。

スーツの男性

4)税理士や会計士に相談する時の違いって?

【1】どちらに相談すればよいか

税理士や会計士は、それぞれ得意分野が異なりますが、どちらも会計業務ができるため、どちらに相談すればいいのか分からない人も多いと思います。そこで、まずは自分自身がどのような依頼をしたいのかはっきりさせることが重要となります。

例えば、会社の資金や在庫を管理してほしい、コストカットなどで利益を最大化する経営上のアドバイスが欲しい、今後の事業戦略を一緒に考えて欲しいなどの場合は、会計士にお願いすることになります。一方、経営上のアドバイスは欲しいが、税金を適正に支払っているか確認したい、自分に合った節税方法を教えて欲しいなどの場合は、税理士にお願いすることになります。

これはあくまで一般的な判断基準ではありますが、基本をまずは抑えておくことが重要となります。ただし、将来を見越してビジネスパートナーを探したいのであれば、どちらかに依頼するか決めることは必要となりますが、財務と税務のどちらも総合的に相談ができる相手を探すことをおススメします。

【2】実際依頼する時の注意点

税理士や会計士のように資格により判断することはある程度できますが、それはあくまで一般論で、その税理士や会計士が、どのような経験があり、何が得意領域なのかがとても重要になります。いくら税務の知識がある場合でも、起業依頼を実務の経験が少ない税理士に依頼すべきではありません。

一方、Q&Aや海外進出をそのコンサルティング経験の少ない公認会計士に相談すべきでもありません。そこで依頼先を探す簡単な方法としては、ホームページなどでその事務所の強みをしっかり把握することです。その上で、どちらが自分の相談内容に合っているのか、電話や直接訪問して話を聞いてみることです。資格や経験の長さではなく、自分が依頼したい内容と、その人の得意な分野や経験が合致しているかどうかが一番重要になるからです。

さらには、一度話すだけで決めるのではなく、何箇所か回った上で気に入った相手に何度も相談してみることです。その時の相手の対応や雰囲気で、自分との相性も分かり、今後ずっと信頼できる相手かどうか判断が付きやすくなります。

【3】会計士や税理士に依頼する場合の目安

(1)節税の相談

節税などの税務に関する相談は、税理士の独占業務となり税理士にしかできない業務となります。例えば、個人事業主で、65万円の青色申告特別控除を受けたい場合は、事業内容、収入、経費など個別具体的な話になりますので、税理士に相談することになります。特に会社の規模が大きくなると、税法上の特例などを活用して大幅な節税ができます。その一つの目安としては、売上高が1,000万円を超えた時です。

それは、売上高が1,000万円を超えると、消費税の納付義務が発生し、自分で消費税の納付額を計算して確定申告が必要になるからです。また、それぐらいの売り上げになると、会社の成長のために設備投資、広告、採用保険加入など、節税対策の幅が広がることも理由の一つです。しかしここでいう相談とは、個別具体的な納税義務に関わるものとされるため、単に仮定に基づいた計算や一般的な税金について税理士の独占業務には当たりません。

(2)経営の相談

経営に関する相談であれば、公認会計士が得意とする分野です。特に規模が大きい会社の場合は、会社法で大会社に該当し、財務諸表などが適正に作成されているか、公認会計士による監査が必須となります。しかし個人事業主やまだ小さい会社の場合は、税理士に相談することが一般的になります。

相談するメリットとしては、会社の規模が大きくなると、何が儲かっていて何が儲かっていないのか、いつどのくらいの資金が必要なのか曖昧になってきます。そこで、税理士や会計士が付くことで、その時点から適正な税務や経営が可能となるだけでなく、現状の数字が把握できるようになり、経営略上の大きな武器となります。そのため、売上高が1,000万円を超えたら税理士に相談し、法人化しさらに規模が大きくなれば公認会計士に相談することをおススメします。






まとめ

【1】公認会計士は第三者の立場から監査業務を行い、主に会計を中心に大企業の経営全般をサポートする専門家である

【2】税理士は税務に関する相談を受け、主に税務を中心に個人や中小企業をサポートする専門家である

【3】税理士と会計士にはそれぞれ独占業務や得意分野があるので、まずは自分自身がどのような依頼をしたいのかはっきりさせておく必要がある

【4】依頼に合った相談先を選ぶには、それぞれの資格についての基礎知識を踏まえ、その人の得意な分野、経験、さらには相性も踏まえて考慮するとよい

The following two tabs change content below.

髙村健一

1973年4月26日神奈川県生まれ。髙村税理士事務所代表・株式会社トラストコンサルティング代表取締役。オーナー系企業・個人の富裕層向け税務コンサルティング、アドバイザリー業務を得意分野とする。LEC東京リーガルマインドの講師など、全国で講演活動やセミナーを実施。研修講演等実績:大同生命・ジブラルタ生命・三井住友海上あいおい生命・アクサ生命他。執筆実績:清文社「間違わない事業承継Q&A」(共著)・観光経済新聞社「税肉を落とす」日本金融通信社「ニッキンマネー・節税のノウハウ」他

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

ABOUTこの記事をかいた人

1973年4月26日神奈川県生まれ。髙村税理士事務所代表・株式会社トラストコンサルティング代表取締役。オーナー系企業・個人の富裕層向け税務コンサルティング、アドバイザリー業務を得意分野とする。LEC東京リーガルマインドの講師など、全国で講演活動やセミナーを実施。研修講演等実績:大同生命・ジブラルタ生命・三井住友海上あいおい生命・アクサ生命他。執筆実績:清文社「間違わない事業承継Q&A」(共著)・観光経済新聞社「税肉を落とす」日本金融通信社「ニッキンマネー・節税のノウハウ」他